2012 Fiscal Year Research-status Report
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24651233
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
片岡 正和 信州大学, 工学部, 准教授 (90332676)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ゲノムスワップ / 放線菌 / 線状ゲノム / 枯草菌 / ハイブリッドゲノム / 重複ゲノム |
Research Abstract |
【放線菌リニアゲノムへの遺伝子挿入方法の確立とツインゲノムの創成】 プロトプラスト融合法を応用した放線菌と枯草菌の細胞質混合法を開発・最適化した。開発した系は放線菌ゲノムへの部位特異的組み込みを行えるactinophageのattP-int領域と放線菌に薬剤耐性を与える遺伝子をゲノムに組み込んだ枯草菌を用いた。実験系の確認には枯草菌内で複製するプラスミド上に同様の遺伝子領域を組み込んだベクターを有する枯草菌を用いた。放線菌のプロトプラスト調整は通常の方法を、枯草菌プロトプラストの調整は赤松らの方法を応用した。両者のプロトプラストを蛍光色素でラベルして追うことで、融合の確認を行った。また、枯草菌に持たせたプラスミドの組み込みによる耐性遺伝子の発現でも確認した。水分活性を低下させるPEGでは平均分子量4000のPEGを濃度50%で使用した場合に最も効率が良かった。プロトプラスト再生中に枯草菌の増殖を特異的に阻害する抗生物質を検索、MICを求めて使用し、放線菌型表現形の株だけを選択的に再生させた。システムで設計された薬剤耐性でゲノムを組み換えた放線菌を特異的に選択した。 選択した放線菌の組み込み部位の周辺を調べたところ、プラスミドを組み込んだ場合はプラスミドが狙ったとおりに組み込まれていることがわかった。しかし、ゲノムが組み込まれているはずの選択株のゲノム上には枯草菌の遺伝子群は見当たらず、また、組み込み部位の周辺配列も保持されたままであった。組換え頻度はプラスミド系のほうが遙かに高かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験系が組めたので70%程度の進展度合いである。ただ何が起こっているかなどを明らかにするためにPCR法やゲノム電気泳動法であるCHEFを用いた解析を行う必要がある。また、ゲノム組み換えの疑似陽性株がなぜ出るのかを組み込み部位などを明らかにすることで解明し、システムを再構築する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
プロトプラスト融合と放線菌ゲノムへの組み込みは設計通りに動いているようである。従って、特にゲノム組み換えの場合に、何が起こっているのかを知ることを主たる研究方針とする。具体的にはCHEFを用いたゲノム解析や、組み込み部位の増幅、配列決定などで調べる。また、リボソームの拮抗的影響がある可能性が高いため、リボソームを一つしか持たない枯草菌の利用を計画している。また、接合伝達を利用した大型DNAの挿入も試行する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度繰り越した859,278円の研究費は、リアルタイムPCR装置を購入予定であったが、値段的に釣り合わず、また、大学の共有施設に購入予定の機器よりより上位の装置があるため、一部を残して消耗品購入にまわし、次年度にゲノム電気泳動装置の再整備に用いることとした。25年度初頭にゲノム電気泳動の諸部品を購入する。今年度新たに請求した予算は、初期計画にしたがって酵素などの消耗品を中心に有効利用する。
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Research Products
(7 results)