2014 Fiscal Year Annual Research Report
国際協力ボランティア政策に関する国際比較研究―半世紀の検証と未来への改革と継承―
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24651281
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
澤山 利広 関西大学, 国際部, 教授 (90388885)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際協力ボランティア / JOCV / KOV / Prace Corps / 多国籍 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、新たな半世紀を見据えた我が国の政府系国際協力ボランティア(国際V)に関する政策提案である。 まず、自己変革の途上にある米国と韓国のV事業に込められた国家戦略等を整理した。米国は国際協力と国内の治安保持やコミュニティ支援等の包摂を進めており、韓国は途上国での韓国ブランドの浸透手段としている。 次に、ブータン、フィリピン、ガーナを対象に日米韓の国際Vの派遣実績をミレニアム開発目標等の国際的なコンセンサスを踏まえ、派遣国側のODA大綱等、そして受入国側の開発計画等と照らし合わせて、傾向と特色を明らかにした。フィリピンでは、韓国の国際V のプレゼンスが高まっているものの、青年海外協力隊(JOCV)が伝統的に採用しているプロジェクト派遣の地方展開に活路を見出すことができる。JOCVのみを受入れているブータンにおいては、同国の5ヵ年計画と376名の隊員のデータ、及び隊員受入機関への聞き取りから、当初のインフラ分野から徐々にBHN分野に職種が移っており、特に、地方分散化政策に基づく派遣を特徴とすることができる。ガーナでは、現地語による教授法を確立している米国平和部隊の教室型隊員の活躍に、文系型隊員による技術協力の方向性がうかがえた。 これらの省察を通じて、JOCV隊員の特性は礼節等の日常生活で培われてきた行動規範にあり、そのことが受入国からも評価されているが、低い充足率等からは要請に応えきれていないことを指摘できる。また、JOCVの副次的効果である隊員自身の成長については、コンピテンシーの向上が見られる。今後期待される帰国隊員による国内還元については、東日本大震災発災直後の専門技術に基づく活動とコーディネートに加え、復興過程での社会開発分野に発見があり、African Unionボランティアとの協働や国内問題への取り組みは、循環互恵型国際V政策の端緒とみなすことができる。
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Research Products
(2 results)