2014 Fiscal Year Research-status Report
「国家的危機」における身体の柔軟性と選別に関する分析:3.11後のナショナリズム
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24651283
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清水 晶子 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (40361589)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯野 由里子 東京大学, 教育学研究科(研究院), その他 (10466865)
星加 良司 東京大学, 教育学研究科(研究院), 講師 (40418645)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | クィア理論 / 障害学 / ナショナリズム / 3.11 / 生政治 |
Outline of Annual Research Achievements |
3年目となる本年度は、2年目までの研究をとりまとめつつ、3.11以降の日本のナショナリズムとのかかわりを念頭におきつつ、ディサビリティ研究とクィア研究との理論的交錯の射程を模索した。 具体的には、 1. 分担者清水は、3.11後から東京オリンピック招致にいたる「中枢からの」復興言説に見られる可動性と距離の操作の分析を起点に、クィア理論における越境可能性への志向や、とりわけ近年の文化理論の「情動的展開」における相互浸透性や非個別性の称揚を、ポストコロニアリズム理論およびディスアビリティ研究の観点から批判的に再考した。 2. 分担者飯野は、フェミニズム/クィア研究とディスアビリティ研究の架橋という目的のもと、障害をめぐる支援の問題について考察を行った。とりわけ、障害をもつフェミニストたちが展開してきた「他者からケアを受けとりながら、ケアを担う」という主張に注目し、そこで目指されていた「自立」がネオリベラルな現代社会においてはやや問題含みなものにもなりうる点を、1990年代以降のメインストリームのLGBT組織に対するクィア理論側からの批判を援用しながら論じた。 2. 分担者星加は、障害のある身体に関する3.11以降の社会的言説について、とりわけ出生前診断と尊厳死をめぐる議論に着目して析出し、日本社会で進行しているシティズンシップ再編の動向と関連着けて整理する作業を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
最終年度には、これまでの研究を総括してあらためてクィアスタディーズとディサビリティスタディーズとの交錯可能性を検討するシンポジウムを開催する予定であった。しかし、シンポジウム登壇予定者との調節がうまく進まず、これは期間延長により2015年度に持ち越すことになった。
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Strategy for Future Research Activity |
2015年度は昨年度に開催できなかったシンポジウムを開催し、日本におけるクィア障害理論の可能性と課題とを提示する。この成果は、研究初年度に開催したシンポジウムの記録とともに、ウェブサイトにおいて公開予定である。
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Causes of Carryover |
最終年度には、これまでの研究を総括してあらためてクィアスタディーズとディサビリティスタディーズとの交錯可能性を検討するシンポジウムを開催する予定であった。しかし、シンポジウム登壇予定者との調節がうまく進まず、これは期間延長により2015年度に持ち越すことになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究の総括として、日本におけるクィア障害理論の可能性と課題とについてのシンポジウムを開催する。それに際し、登壇者の招聘などのシンポジウム関連費用、およびシンポジウム後のウェブサイト公開のために、残額を使用する予定である。
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Research Products
(4 results)