2013 Fiscal Year Research-status Report
複合的マイノリティのアイデンティティ交渉ージェンダー・エスニシティ・宗教のはざま
Project/Area Number |
24651288
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Research Institution | Kyoto Gakuen University |
Principal Investigator |
黒木 雅子 京都学園大学, 人間文化学部, 教授 (20319437)
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Keywords | ジェンダー / エスニシティ / キリスト教 / アイデンティティ / 複合的マイノリティ / ポスト植民地主義 |
Research Abstract |
平成25年3月に「エスニシティ・ジェンダー・キリスト教と宗教」の研究会を立ち上げた。その後、平成25年5月からほぼ二ヶ月毎に、研究会メンバーを中心に全5回の研究発表を行い、平成26年1月の第6回研究会では、新しいメンバーが「在韓フィリッピン人の社会関係」と題した発表を行った。 夏期は、プラハ(チェコ)の韓国系教会にて女性たちの聞き取り調査を行い、8月末にチューク島(ミクロネシア)でフィールドワークを行った。ミクロネシアの調査は、11月の第5回「エスニシティ・ジェンダー・キリスト教と宗教」研究会において、「南進論とミクロネシア」と題して発表を行った。多くのアジア系アメリカ人と異なり、ミクロネシアの日系人の「混血」の人たちは現地の社会に同化して、別の集団をつくることはなかった。この発表をもとに『人間文化研究』32号で「ミクロネシアをめぐる人々の移動と日本の関与」として、研究ノートをまとめた(平成26年3月発行)。 9月にはハパ(マルティ・レイシャル・アジア系アメリカ人)ジャパンの講演会に参加した(京都大学 人文科学研究所主催)。アジア系アメリカ人のアイデンティティを考える上で重要なのが、1/3の男性と1/2の女性が異集団結婚という人口動態と結婚のデータである。白人と黒人の二極構造のはざまでアイデンティティはどう変っていくのだろうか、新たな「問い」が出された。 平成8年に出版した『異文化論への招待ー<違い>からの自文化再発見』朱鷺書房を改訂し、平成26年3月に『異文化論への招待ー<違い>とどう向き合うか』を出版した。初版本のデータ更新、「問い」の再設定、事項と人名索引を新たに加えた改訂版である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年3月に立ち上げた「エスニシティ・ジェンダー・キリスト教と宗教」研究会を,ほぼ二ヶ月毎に一年間で5回開催した。研究会メンバーによる発表の内容は、日本型多文化主義の再考、ひきこもり調査、日本の介護、南進論とミクロネシア、在韓フィリッピン人の社会関係などの、複合的マイノリティをめぐるものであった。研究代表者は、25年8月のミクロネシアでのフィールド調査をもとに、研究会での発表と研究ノートを執筆した(平成26年3月)。また、26年3月には『改訂版 異文化論への招待』を出版した。そのなかで、日本をはじめ、アメリカ、オーストラリアにおけるさまざまな複合的マイノリティの事例を扱った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は複合マイノリティのなかでも、マルチ・レイシャル・アジア系アメリカ人とアイデンティティに焦点をあてて、研究や調査を行う。アジア系アメリカ人のなかでも特に日系アメリカ人(男性よりも女性に多い)は異集団結婚(外婚)する割合が高い。そこで、今夏は北カリフォルニアの教会を通じて、4世以降のアジア系および日系アメリカ人の調査を行いたい。
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