2012 Fiscal Year Research-status Report
アブダビ首長国連合での日本語教員多文化性開発の考察
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24652107
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
ラムザン 優子 立命館大学, 国際教育推進機構, 准教授 (70589564)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | アラブ首長国連合 / アブダビ |
Research Abstract |
本研究は日本語教員の多文化性の理解の仕方と教員自身の多文化性の開発がどのように成されるかを明確にする事を目的にし、アラブ首長国連合で日本語教育に従事する教員を対象に、彼らの日本語教育に対する内省の記録と本研究者の教員へのインタビューをデーターとし、彼らが経験する多文化性への理解のプロセスを探求するものである。特に日本国外での日本語教育を対象にした多言語多文化共生日本語教育における教授法に関する研究は未だ数少なく、日本語教育者としての多文化性開発がどのように成されるのかを探求する本研究の結果は多文化共生という概念を軸にした日本語教育分野での教育法を議論する上での礎になりうる。 立命館大学、コスモ石油株式会社、アブダビ王立IAT(Institute of Applied Technology)高等学校は2011年9月より立命館大学がそのアドバイサーとして、日本語教育を導入するという連携プログラム協定を結んだ。本研究者はその日本語プログラムの監修者としての立場で本研究を執行している。本研究では日本語教員がアラブ首長国連邦という異文化圏に自らを配し、イスラム教を生活の基盤にしているアラブ首長国連邦での日本語教育の導入という背景の下で、教員が経験する自己開発のプロセスを分析し彼らの多文化性開発を科学的に探究するものである。教員の内省を探究するという研究目標をポートフォリオを使用しデーターを体系的に収集している。 本年度は本研究方法であるグラウンデッドセオリーの第2ステージの分析を終了(2011年に第1ステージ)したことになる。これらのデーターを分析し学会で研究の経過報告として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の現場となるアラブ首長国連合、アブダビにある高校での日本語プログラムは2011年9月開講となり、2014年6月が第一期生のコース終了となる。本研究は当該プログラムの第一期生がコースを終了する3か月前に研究期間内に計画された全研究行程を完了し結果を纏め上げ、日本語教育界に広くその結果を発表する。また教育研究方法論の分野でも、質的研究分析方法であるグラウンデッドセオリーを使用した研究プロセス、その有効性が論じられる。 本年度は1)月1回の教員レポート8回分、2)アブダビの日本語教室の現場の視察、教員との面談によるフィールドワーク、3)アブダビの大学で日本語を教える教員1名とアブダビの大学で日本語倶楽部の責任者をしている大学職員一名のインタビューをデーターとして収集/分析をした。 月1回のレポートはManabaフォリオというポートフォリオを使用し体系的に収集し、その分析を行った。分析結果の信憑性を高める為にフォローアップスカイプ面談もレポートの提出後に8回行われ、その記録は纏められた。結果は以下の学会で研究途中経過として発表した。 Yuko Ramzan, The construction of Interculturality: a case study of Japanese language teachers in UAE, 2012 International Teacher Education Dialogue- Innovation and New Ideas in Teaching and Teacher Education,Southern Cross University,Coffs Harbour, NSW, Australia,2012/08/02) 本研究方法であるグラウンデッドセオリーの第2ステージの分析となり、最終ステージへの指針が決められた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度はほぼ計画に則り研究は遂行され、第2サイクルのデーターが収集、分析された。その結果は学会の参加により他の研究者からの評価も得られた。来年度には本研究が完了する。その為にグラウンデッドセオリー第3サイクル目のデーターになるマナバフォリオに投稿される内省記録を4月から6月にかけて収集する。またIAT教員が京都立命館宇治高校への引率として9月第1~2週目に来日する為、そこでインタビューを行う。10月上旬にはUAEを訪問、高校での授業見学で最終のフィールドノートを作成する。これらのデーターはこれまでと同様にグラウンデッドセオリーの方法論にのっとり、問題点を引き出しデーターを更に生成してゆく。これらのデーター分析結果により、その因果関係を発見し、本研究の結果とする。この間、データーの分析を進めながら、グラウンデッドセオリーという本研究分析方法論を事例研究の第1報告として纏めあげる。本研究の完結に向けての今後のプロセスを纏めると、4月~7月には参考文献を調査し、本年度3月までの結果と比較する。そして論点を広げて行く。10月にはUAEを訪問し、その時点での結果を基に研究対象者に再度のインタビューを行い、結果の信憑性を高める為のデーターとする。11月~2014年1月には最終結果を出し論文を書き上げる。2014年2月~3月は学会に参加し、結果を発表する。その間、論文の修正、加筆し、ジャーナル等の学術雑誌への投稿を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の使用計画としては6月24日から6月28日までアルゼンチン、ブエノスアイレスで比較教育学会の世界大会での発表が決定され、その旅費/日当/保険などで50万円を使用。アブダビとの通信費に1万円、論文を書き上げるに当たり図書費5万円、論文の英時約6000字の校正費とジャーナル投稿費に5万円、研究協力者への謝礼費に2万円、消耗品に1.5万円があげられる。
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