2013 Fiscal Year Research-status Report
メモリー・スタディーズのモデル構築に向けた領域横断的研究-東アジアを事例として
Project/Area Number |
24653120
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
葉柳 和則 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科, 教授 (70332856)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
才津 祐美子 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科, 准教授 (40412613)
渡辺 貴史 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科, 准教授 (50435468)
南 誠 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科, 助教 (70614121)
保坂 稔 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科, 教授 (80448498)
|
Keywords | 地域研究 / メモリースタディーズ / 東アジア |
Research Abstract |
<平成24年度の研究成果の公表と再検討> 平成24年度の研究成果を順次公表し、他の研究者を含めてその再検討と研究方法・体制の修正を行った。まず上半期に、公開の研究例会を開催し、研究の方法と分析結果の妥当性を検討する(開催責任者:葉柳)。それを踏まえて下半期に、メンバーが個別に学会発表を行い、意見交換に努めた。それをフィードバックさせる形で、各メンバーの研究計画とプロジェクト全体の枠組みの再検討を行った。 <フィールド調査> 【調査】 長崎における20世紀の記憶とその継承 平成24年度に引き続きフィールド調査を実施した。長崎調査においては、被爆体験の継承活動をめぐる調査に加え、1974に海底炭鉱が閉山した端島(通称:軍艦島)の記憶をめぐる調査、長崎市の神ノ島および外海地区におけるカトリック信者たちの語る20世紀の記憶と信仰の変容についての調査を開始した。長崎における20世紀の記憶を論じる際、原爆被災に関する記憶が1つの中心になることは必然であるが、端島の記憶にしろ、信仰の記憶にしろ、近代化、戦争、被爆、復興、そして今世紀における世界遺産登録の動きといった出来事の中で、その語られ方、共有のされかたに大きな変容を見せていることが明らかとなりつつある。 <シンポジウム> 研究成果の中間報告を兼ねて以下のシンポジウムを開催した。 国際シンポジウム「東アジアにおける歴史記憶の共生と研究実践――日本、中国大陸と台湾の対話を手がかりとして」(日時:2014年3月8日 13:00~17:30、場所:長野県下伊那郡阿智村コミュニティ館 2Fホール)
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた調査のうち、長崎をフィールドとする調査は順調に進行したが、東アジア諸都市での調査は、第二次世界大戦の記憶について問いを含むこともあり日中関係および日韓関係の悪化を顧慮して延期せざるをえなかった。しかし、研究会やシンポジウム等は計画以上の進行を見せている。したがって全体としてはおおむね順調に進展していると自己評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、中国サイド、韓国サイドとの連携の再構築をはかりつつ、総括的なシンポジウムを開催するとともに、個別の論文投稿、ワーキングペーパーの発行等を活発化させていく。現在、神戸大学海港都市研究センターおよび韓国海洋大学校国際海洋問題研究所とのネットワークを強化し、東アジアの海港都市のメモリースタディーズを協力して展開する枠組を構築中である。また昨年度まで、政治学的観点からのアプローチが希薄であった点を踏まえて、人文学と社会科学のクロスオーバーによる、多角的な記憶研究のメソドロジーを構築する予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
計画通りの予算執行を目指したが、シンポジウムに招待予定の外国人研究者(モンゴル)が開始直前になって急病になったこともあり、計画よりも支出が下回ったため。 翌年度は、上記の外国人研究者の体調が回復すれば招待する予定。そうでない場合は、他の外国人研究者を招待する。それ以外は当初の計画通り遂行する。
|
Research Products
(13 results)