2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24653143
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
全 泓奎 大阪市立大学, 都市研究プラザ, 准教授 (00434613)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 外国籍住民 / 多文化共生 / コミュニティワーク / 大阪 / 東日本大震災 / 都市防災 |
Research Abstract |
2012年度は、二つのテーマを中心に研究を進めてきた。まず、①本萌芽研究開始に先立って行った、東日本大震災における外国籍住民の被災状況や復興に向けた取り組みに関する調査の成果報告である。そして、②本研究者の調査・研究の拠点である大阪市内のエスニックコミュニティ等を中心とした、外国籍住民の生活実態の把握や、定住支援に向けたコミュニティワークの課題を探るための調査研究を行ってきた。なお、当該調査に関しては、引き続き中間報告として学術雑誌等に論文として掲載する他、学会等において積極的な研究報告を行ってきた。 ①に関しては、被災地における被災外国人に対する支援現場の実践から得た知見を基に、都市型と異なる社会的・地理的環境状況の下、「東北型多文化共生」という、外国人支援に向けた支援モデルを創り出している現場の実践をまとめることができた。外国人の地域定着を支援するため講じられた既存の社会資源が、大規模災害時に、当該住民のセーフティネットとして有効に機能していた事例を現地調査から得た知見としてまとめて、書籍、並びに国際会議(フランス・パリにて開催)にて報告を行った。なお、②と関連しては、大阪市内の外国籍住民の居住地域を対象に、住民の生活支援を視野に入れつつ、地域社会の中での社会統合を目指した支援のあり方を考えていくための実践的・現場還元的調査を、学内、及び民間の研究助成と組み合わせながら実施した。学内に関しては、都市防災に関連した全学組織として立ち上げられたプロジェクトグループに属しながら活動を展開した。研究活動の成果は共同研究の成果として書籍として刊行された。その他に、国際ワークショップ(東アジアインクルーシブシティネットワークショップ)において研究報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東日本大震災に際して行った被災外国籍住民への聞き取り調査に関しては、雑誌論文の記事や関連書籍として調査内容の報告を行った。なお、国際会議でも、被災状況及び支援現場からの実践活動が当事者の避難、及び復興支援に有効に働いていたことなどの報告を行ってきた。一方、その後のフォローアップ調査が未実施であり、それに関しては2年度目以降、大阪市内での調査と連携させながら、経験の共有に資するための調査を計画中である。なお、東日本大震災の際の外国籍住民の被災状況や支援実践から得た知見を、本研究者の拠点地域である大阪市内の外国籍住民居住地域に応用していく研究に関しては、初年度は、大凡の概要を把握し本格的な調査実施に向けた下地作り(研究会の開催及び地元の住民や関連団体とのネットワークづくり)を中心に進めてきた。2年度目以降は、居住者への聞き取り等の調査を積極的に実施していく中で、移民過程や定住生活における、生活課題などを炙りだしていく中で、コミュニティワークに向けた課題を明らかにしていきたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2年度目は、大阪市内の二つの地域でより重点的な調査実施を行うことにしたい。とりわけ、これまでの調査の中から、市内N区内にあるN小学校には、近年増えつつある新規来日の外国籍住民及びその子どもが増えており、小学校では、独自のプログラムとして「多文化共生学級」や「フィリピン学級」を開設し運用していることがわかった。なお、同区内にある市民交流センターでは、外国籍住民向けの「日本語教室」を運営しており、多くの外国籍住民がここで学んでいる。なお、S区では、本研究者を中心に、都市防災と関連した公営住宅居住者への実態調査を行ったが、そこでも外国人居住者の生活ニーズが浮かび上がっており、本年度は、両地区の外国籍住民のニーズに関する本格的な聞き取り調査を行っていく予定である。これには、先述したように昨年度構築した社会関係のネットワークが有効に機能していくことが期待できよう。その他に、当該居住者や地域への実践課題として、外国籍住民を巻き込んだり、もしくは当該住民が当事者として主体的にコミュニティワークにかかわっている国内、及び海外の関連事例に関する調査も行っていく予定である。具体的には本年8月に台北市内のエスニックコミュニティ等についての調査を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(7 results)