2012 Fiscal Year Research-status Report
長期閉鎖環境への適応および帰還後再適応に対する心理的サポート方法の開発
Project/Area Number |
24653202
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kyoto Koka Women's University |
Principal Investigator |
鳴岩 伸生 京都光華女子大学, 人文学部, 准教授 (20388218)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑原 知子 京都大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (20205272)
川部 哲也 大阪府立大学, 人間社会学部, 准教授 (70437177)
佐々木 玲仁 九州大学, 人間・環境学研究科(研究院), 准教授 (70411121)
加藤 奈奈子 京都文教大学, 臨床心理学部, 講師 (40583117)
佐々木 麻子 立命館大学, 学生サポートルーム, 契約専門職員 (80649517)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ストレス / 極地 / 南極 / 南極観測隊越冬隊 / 臨床心理学 / 長期閉鎖環境 / 再適応 |
Research Abstract |
本研究は,南極越冬中の隊員におけるストレスの詳細とその対処を調査することにより,(1)閉鎖環境での長期生活によって生じる心理的課題を明らかにし,(2)遠隔地への心理的支援の可能性を検討すること,さらに,(3)越冬隊員への帰国後の再適応のための心理的サポート体制を構築し,遠隔地での長期生活から日本に再適応する際の心理的負荷とその支援策を見出すことを目的とする。24年度の研究成果は,以下の3点である。 1.【第52次南極地域観測隊越冬隊員に対する心理調査の分析】越冬隊員26名に継続的に施行した心理調査の分析を行った。調査時期は,2010年11月(出発前の日本),2011年3月(越冬初期),同年6月(極夜前後),同年7月(冬季),同年9月(春季),同年12月(白夜期),2012年3月(帰りの船内)の合計7回であった。調査用具は,(1)気分の状態を調べるPOMS,(2)達成動機尺度,(3)パーソナリティ特徴を測定するBig Five尺度であった。(1)POMSの結果から,52次隊においては,過去の「白夜期に否定的な気分が上昇する」という結果とは異なり,統計的に有意な時期変化が見られなかった。(2)達成動機尺度からは,過去の結果同様,越冬中は隊員の自己充実的な達成動機が高い水準で一定に保たれていたことが明らかになった。 2.【第52次越冬隊員に対する面接調査】個々の隊員の越冬中および帰国後のストレス状況の詳細を把握するため,研究協力を承諾した第52次越冬隊員5名に対し,2012年12月~2013年2月に半構造化面接による調査を施行した。現在,分析中である。 3.【第54次越冬隊員に対する調査協力の要請と施行】第54次越冬隊員に対し,心理調査への協力を要請し,2012年11月に,出発前の日本での心理状態,ストレス状況,ストレス対処に関する質問紙調査を施行した。調査協力者は29名であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は,南極越冬中の隊員におけるストレスの詳細とその対処を調査することにより,(1)閉鎖環境での長期生活によって生じる心理的課題を明らかにし,(2)遠隔地への心理的支援の可能性を検討することを目的とする。さらに,(3)越冬隊員への帰国後の再適応のための心理的サポート体制を構築し,遠隔地での長期生活から日本に再適応する際の心理的負荷とその支援策を見出すことを目的とする。 24年度の実施計画として挙げていた,(1)帰国した第52次南極地域観測隊越冬隊員への面接調査,(2)出発前の第54次南極地域観測隊越冬隊員への調査協力の要請と施行を無事に実施することができたことから,「おおむね順調に進展している」と評価した。しかし、第52次隊,第53次隊のデータ分析,過去の成果に関する論文執筆を進めながら,25年度の研究計画を実施していくことを考えると,研究目的を達成する上で25年度の研究活動を精力的に行うことが重要だと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は,当初の計画通り,(1)第54次南極地域観測隊越冬隊員への心理調査の施行,(2)越冬隊経験者への面接調査,(3)帰国した第53次南極地域観測隊越冬隊員への面接調査を施行する。特に,(2)越冬隊経験者への面接調査は,新たな試みであり,これまでに蓄積した現代の越冬隊員の面接データと比較する重要なデータとなる。(1)における越冬隊医療隊員との連携に関しては,京都光華女子大学の鳴岩伸生が主に分担し,(2)に関する面接調査の施行と分析は,京都大学の桑原知子と京都光華女子大学の鳴岩伸生が主に分担する。(3)に関して,面接調査の施行と分析は,九州大学の佐々木玲仁,京都文教大学の加藤奈奈子,立命館大学の佐々木麻子が主に分担し,質問紙調査の分析は,大阪府立大学の川部哲也が主に分担する。 研究成果の公表については、当初計画では2回の学会発表としていたが、前述の「越冬隊経験者への面接調査」の準備および論文執筆作業を並行して進めるため,学会発表回数を1回に変更する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の研究費は,266,582円が未使用となった。主な理由は,(1)購入予定であったノートパソコンの購入を見合わせたこと,(2)第52次南極観測隊越冬隊員の面接調査協力者が研究計画時の予想より少なかったことの2点であった。そこで,平成25年度に関しては,(1)ノートパソコンの購入に加え,(2)新たな試みである越冬経験者への面接調査,および(3)第53次越冬隊員の面接調査にかかる調査者と調査協力者の旅費,データ整理にかかる謝金に使用する予定である。なお,第53次越冬隊員の面接調査協力者については,現時点で,研究計画時の予想を上回る協力者が得られる見込みである。
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Research Products
(3 results)