2012 Fiscal Year Research-status Report
教員養成においてロール・プレイングの発見的側面を絵本に表現することの意義
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24653255
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Research Institution | Uekusa Gakuen University |
Principal Investigator |
植草 一世 植草学園大学, 発達教育学部, 准教授 (80320729)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 教師(保育者)養成 / 絵本作り / 子どもの支援 / お話作り / ロール・プレイング活用 |
Research Abstract |
教員(保育者)養成においては、学生が理論や知識を学ぶだけでなく、実際に体験・経験して、感じ、考え、学ぶことが大切と考え、ロール・プレイング(以下R・Pと記す)をその課程に取り入れてきた。そのことによって学生は、子どもや保育者の立場に立って保育現場のイメージを共有することが可能となり、良い学びを得ることができた。本研究者はさらに、子どもの成長過程に学生が実際に関わることが重要と考え「絵本作り」の課程を考え導入することを試みた。絵本作りによって子どもは、一つの物語を作っていくその過程に学生が入り共感することが、子どもの生活に対する深い理解につながり、その後の保育士・幼稚園教諭としての役割に重要な示唆を与えると考えたのである。 実際には学生や親支援による子ども(幼稚園児・保育園児・小学生)のための絵本作りを行い、学生や親が子どもと一緒に絵本を作る機会をもうけた。その中で学生と子ども達の嬉々とした様子を見ることが出来た。絵本作りによって、子どもの内面を考えながら援助することを考えるようになったこと、学生と子どもたちの深い交流が実現したと考えられた。このことから子どもの絵本作りを手伝うことで子どもの内面的充実感や主体性を考慮するようになったことが分かる。このような活動は、学生自身の内面性の形成にも役だった。 本研究において、以上のように絵本作りをどのように支援・指導すれば学生や親の内面の育ちを促すことができるかについて、実証的に検証してきた。絵本作りには独立した紙面と個々の紙面を関連付ながら展開し、完結させるという物語性が含まれている。そのために、子どもの奥底にあるものが物語として展開しやすく学生にとっても、子どもの心に寄り添いながら心の展開を支えやすい良い機会になる。このような利点があることから、絵本作りを教員養成の一環に加えることが望ましいと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実際には研究を4つに分けて行っている。研究1は、「子どもが絵本作りで発見すること」、研究2は、「親の絵本に対する意識」、研究3は、「学生支援による絵本作り、子どもの創造性を育てる実践」について、研究4は、「教師(保育者)を目指す学生が手作り絵本に取り組むことの意義」について、分析し考察している。これらの研究から、保育者として子どもに向き合うために、子どもの気持ちの内面に対する働きかけに意識が向いていることが読み取れた。学生や親は子どもの絵本作りを手伝う過程で,より深い内容の話を子どもにするようになった。つまり、子どもとの精神的な関わりや子どもの主体性を助ける援助について考えるようになり、子どもの内面的充実感や主体性を考慮するようになったことが分かる。このような活動は、学生自身の内面性の形成にも役だった。 学生や親に対してアンケート調査を行い、現在までの研究成果は研究1~4にまとめている。研究1は、「子どもが絵本作りで発見すること」について、①子どもが親と絵本のお話作りやお絵かきをした際の子どもの様子と絵本作りに対する思いを把握する。②親の絵本に対する意識を分析し、考察している。研究2は、子どもが親子で絵本のお話作りやお絵かきをした際の子どもの様子と絵本作りに対する思いを調査し、親の絵本に対する意識を分析し、考察している。研究3は、親や学生と一緒にする子どもの手作り絵本の、子どもの主体性を育てる実践について、絵本作りを自分の経験の振り返りと統合の過程としてとらえ、内容を分析するとともに素材がどのように活用されたかを検討する。子どもたちの絵本に表現された内容や素材を読み取り,整理しすることによって,絵本作品の内容分析を行い、文献をもとに考察を加えている。研究4は、教師(保育者)を目指す学生が手作り絵本に取り組むことの意義について分析し考察を加えている。順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年の実践研究をもとに教職志望の学生が教師(保育者)になる自らの育ちの筋道を整理する。よりよい教授法と実践法のあり方を体系化する。①学生が自信と意欲をもって望む職業に取り組めるようにするための条件について検証する。②教育(保育)現場での実際の困難性における、保育者としての資質のファクターを抽出する。③教師(保育者)を志向した学生の資質の自己分析と向上の試みを行い、分析、考察をする。④教材開発(テキスト作成):手作り絵本の作り方、教材研究、お絵かき表現技術、お話作りを含む絵本に使える方法を整理し提案する。 研究内容については、①学生の表現を絵本にすることにはどのように導き指導したらよいかについては、さらに研究する必要を感じている。②子どもとともにする絵本作りにおける学生の支援方法を実証的にさらに探り、この研究によって学生の支援方法がわかることで絵本作りを教員養成のプログラムに導入する意義と方法が明らかにし、教員養成プログラムをより充実したものにしていく。③研究1~4までの研究実践を行い、成果をさらにまとめていく。またR・P活用の意義を明確にし、絵本作りの意義を1~4の研究を続け、成果をまとめていく。 研究成果の発表は、研究1と研究2は植草学園大学紀要に、研究2は芸術教育紀要に、研究4は日本保育学会に、発表予定又は準備中である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
【研修会場費】基礎研究の場となる千葉R・P研究会では、R・Pを持続的に、又本格的に行うために月例研修と宿泊研修を行っている。宿泊研究・研修会場等の環境を整えることが急務である。昨年同様の宿泊研修会場の確保を行い、研修内容の充実を図る。現在「ポートプラザちば」を検討中である。【設備・備品】手作り絵本作成のための、絵本、本、DVDを購入する。【人件費・謝金】教科書、絵本の開発部門にも人件費等を含む開発研究費を投じる。R・Pのセッションを授業と研修を行う。そのための講師と補助者を雇用する。その録画・記録の補助、記録おこし等の役割を依頼する。【旅費等】研究発表のための旅費、研究参加費。【消耗費】研究報告制作のための印刷用インク代。絵本制作のための、紙類(ケント紙・画用紙・厚紙)、ポスターカラー、筆、パレット、印刷用インク等。【印刷代・その他】研究成果・テキスト用:製本用紙代ならびに印刷代。
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Research Products
(3 results)