2013 Fiscal Year Research-status Report
高い電磁感受耐性を備えた科学衛星搭載適応型ソフトウェア電磁波観測器の研究
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24654157
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
笠原 禎也 金沢大学, 総合メディア基盤センター, 教授 (50243051)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 由貴 金沢大学, 電子情報学系, 准教授 (30361976)
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Keywords | 宇宙科学 / 計測工学 / 磁気圏・電離圏 / 情報通信工学 / 人工衛星 / 科学衛星 / 電波受信器 / 電磁感受耐性 |
Research Abstract |
本研究課題は、科学衛星搭載用プラズマ波動観測器について、衛星搭載器起源の雑音をデジタル的に除去する手法を確立し、人工衛星搭載品からプラズマ波動受信機に混入する雑音に対する耐性の高い高感度電磁界計測の実現を目指している。今年度は、以下に示す2つの項目について重点的に検討を行った。 1.将来衛星における高度自然波動計測の実現を目指して、計測したプラズマ波動データから、有意な波動現象の特徴を自動認識し、抽出するアルゴリズムをいくつか考案した。その結果、雷起源ホイスラやコーラスなどと呼ばれる複数種の波動を、高速に自動判別できることを実証した。特に雷起源ホイスラは、高い雑音レベルのアナログ波形信号から、低い誤検出率で大量に自動抽出する信号処理法が確立し、あけぼの衛星が取得した長期観測データを用いた雷ホイスラの空間・時間特性の解析に貢献した。 2. 自然波動の伝搬方向(伝搬ベクトル)推定に、マルコフ確率場モデルを活用した新しい波動分布関数法を考案した。提案法は、波動の伝搬方向の推定時に、受信器の雑音レベルを同時推定するパラメータを含めることで、雑音レベルが高いデータでも良好に伝搬方向を求めることが可能である。さらに従来法より、計算量も小さく、高速に解が得られることも実証した。 これらはいずれも既取得データに対する地上処理で実現しているが、比較的軽負荷な処理について、衛星でデータ取得直後の機上処理で実現できるよう、検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々が考案する雑音除去ならびに受信器特性の推定アルゴリズムが、既取得のデータに対して有効に活用できることを示すとともに、多種多様な自然プラズマ波動の自動認識や類似性の定量化の方法を確立するなど、研究は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、当グループが保有するあけぼの・かぐや衛星で取得した自然波動データを有効活用し、大きな雑音が重畳した電磁波計測データであっても、雑音に影響されることなく良好に自然波動の伝搬方向推定が行える方法を確立するなど、従来では不可能であった高雑音下での計測データから、観測対象である波動の特性パラメータを正しく求める信号処理法を研究開発する。 またこれまでに得た知見を、機上処理で実現すべく、衛星搭載電磁波受信器のデジタル処理部を模擬する評価用デジタル基板を併用し、考案したアルゴリズムの実装と評価、特に実時間処理での実現性の可否、さらにはセンサ・受信器の高速な較正法について、検討を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究課題遂行に必要なデータ整理などを謝金にて行う予定であったが、当初予定より作業量が比較的少なく、謝金を必要とする作業が発生しなかった。結果的に少額の次年度使用額が生じたが、全般的にはほぼ予定通りの予算執行を実施している。研究計画そのものも順調に推移しており、このことによる影響は特にない。 国内外における成果発表や、学術論文への投稿などの費用に重点的に配分し、最終年度としての研究成果の取りまとめと成果公表を積極的に行う予定である。
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