2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24655165
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
山内 智 茨城大学, 工学部, 准教授 (30292478)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | THz / 糖結晶 / エミッター |
Research Abstract |
糖結晶成長の原料となる粉末糖原料のテラヘルツ波帯での詳細評価を行った。その結果以下の成果を得た。 1)構造異性体の組成分析:テラヘルツ時間領域分光法を用いて構造異性体による吸収特性を明らかにした上で、その定量分析解析法を提案し誤差がモル%以内での精密分析を実現した。 2)微結晶体のサイズ分析:種々の微結晶サイズによるテラヘルツ波帯での応答特性について評価を行なった結果、特定の吸収の強度が結晶サイズに依存することが分かり数十ミクロンサイズのものであってもテラヘルツ波帯での吸収特性からそのサイズの推定ができるようになった。 上記1)は結晶成長を行う上での原料評価および結晶体特性との比較を行うための基礎データであり、このデータ収集は完了している。また、2)は大型結晶体特性との比較を行う上での基礎データに関わる内容であり、これについてもデータの収集は完了している。なお、これらの成果は、平成24年9月開催の秋の応用物理学会、及び、平成24年12月開催の3rd International Symposium on Terahertz Nanoscienceにて発表を行なった。 糖結晶成長については、過飽和液や結晶成長温度等の条件設定がほぼ終了し、大型単結晶成長への準備ができている。但し、大型単結晶成長するための改善点も見出されてきており、今後この点を解決する必要がある。結晶体のテラヘルツ波帯での挙動については、現在得られている結晶体(大型ではあるが、双晶を含む)調査を行い、提案した原理が有効であることを確認しつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の目的である、糖結晶成長については当初予定していた方法から若干の変更が生じているが、単結晶のサイズは成長方法および成長条件の最適化により大型化してきており、テラヘルツ波帯での基本特性を評価し得るものができてきていることから、概ね順調と言える。 結晶体特性との比較を行うための透過型THz-TDSによる粉末特性評価については、予想よりも高い精度で行えることがわかり、また、数十マイクロ以下の微結晶のサイズを推定できることもわかった。結晶体での特性評価については提案した原理が有効であることが確認できている。以上より、これらについては当初の計画以上に進展していると言える。 結晶体からのテラヘルツ波放射評価については、フェムト秒レーザー照射系の構築に予想以上の時間を要してしまいH25年度に評価を行うこととなったことから、予定よりもやや遅れている。 以上を総合して、平成24年度の研究は概ね順調に進展していると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
糖単結晶の大型化を引き続き実施する。実施する上では、平成24年度に明らかとなった結晶大型化上の問題点を改善するための装置の改良を行う。 糖結晶からのテラヘルツ波放射評価を行うために平成24年度で問題になった点を改善するためにフェムト秒レーザー光の空中伝播からファイバー導波に変更して系を構築する。 無水物結晶の評価およびTHz-TDS系への組み込みは当初の予定通り実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
糖結晶成長での問題点を改善するための装置改良をするために消耗品の購入を行う。 糖結晶からのテラヘルツ波放射評価を実施するためのファイバー導波系としてファイバー直結型の遅延装置を部品として購入する。 得られた成果の公表として、国内学会(応用物理学会)2回と国際学会2回を予定している。
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