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2012 Fiscal Year Research-status Report

顕微ラマン分光を用いたMEMS共振構造体の時間分解局所応力測定

Research Project

Project/Area Number 24656087
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

土屋 智由  京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60378792)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2014-03-31
Keywords時間分解応力測定 / 顕微ラマン分光 / 共振子 / マイクロマシン / シリコン / 光チョッパ / 静電アクチュエータ
Research Abstract

本研究では顕微ラマン分光装置の光源を振動子の振動に同期させることで、ラマンスペクトルの時間分解測定を実現し、シリコンマイクロ構造体の局所動的応力評価を実現する。既設の顕微ラマン分光装置のArガスレーザの入射光路の途中にMEMS アクチュエータを設置する。これは静電力駆動のチョッパとして機能する。MEMS チョッパは小型であるので、市販の顕微ラマン分光装置のコンパクトな入射光学系への挿入が容易であり、ノイズの原因となる振動を発生しない。また、共振周波数が高いのでデバイスの駆動に十分応答ができる、などの特徴がある。
本年度は必要なデバイス仕様を検討し、静電駆動方式のチョッパを設計した。レーザ光の透過を考慮して、ガラスウエハにシリコン層を有する(Silicon on Glass; SOG)ウエハを用いて、アルミ蒸着層を利用したセルフアラインプロセスのチョッパを製作した。設計途上で応答速度を数マイクロ秒とすることが困難であると予想されたため,対象とするSi振動子を面外振動するSi振動子とし,その共振周波数を数kHzと設定した。
デバイスを既設の顕微ラマン分光装置に設置し、デバイスの駆動確認、振動(応答)特性を評価し、光チョッパとしての性能を確認した。ON時の応答速度は数十μ秒であり,数kHzの振動子に対しては十分であることが確認できた.しかしながら,OFF時の応答速度は1m秒程度であった.これは,減衰振動によるものであると判断している.共振振動するシリコン振動子に対する測定を行ったところ,わずかなシフトを観察することができたが,応力を定量的に評価できる程度の変化はまだ得られていない.
このため,新たなプロセスを用いたデバイスの設計を行った.ON時,OFF時とも振動しない構造に改良している.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

本研究での最終目的であるMEMSチョッパを作製し,顕微ラマン分光装置の入射光学系にMEMSチョッパを挿入した実験を早期に実現できた.また,光チョッパの機械的特性の測定をマイクロシステムアナライザ,光学特性を顕微ラマン分光装置で評価できることを確認し,第1回目の試作で実現した光チョッパの特性を評価できた.機械特性については設計とほぼ一致する特性を得ており,これは,MEMS静電アクチュエータの動作の設計手法を確立したと言え,今後の改良に向けて着実に成果を積み上げている.
さらに,予定にはなかったが,デバイス構造の改良設計とプロセス検討にすでに着手しており,もともとの予定よりも早く進んでいると言える.
一方で,チョッパーの性能については当初の狙いよりも応答速度が得られないことがわかってきており,さらなる改良が必要であることを示しているが,そもそもこのような知見を設計および実験で得ることができたのは大きな成果であると考えている.

Strategy for Future Research Activity

本年度はプロセスの改良,デバイス構造の改良を進め,現在の目標である共振周波数2kHz以上の単結晶シリコン振動子の動的な応力について100MPa程度の測定分解能実現を目指す.
これまでの試作で,すでに上記で述べた応答性の低さ,また,透過光量の少なさ,また消光比の低さが課題となっている.これらを解決するために,デバイス構造,プロセス双方の全面的な改良を試みる.
具体的には①シリコンウエハにキャビティを形成し,また,ガラス基板にスリットを形成した後にアライメント陽極接合したのちにチョッパ構造を形成するプロセスを開発する.これは従来キャビティをウェットエッチングでガラスに形成していたがこのときの表面粗さ劣化が問題となっており,ガラスをエッチングしない構成に変更すること,消光比を高めるため可動部のシャッターに対するスリットの寸法を大きくすることを実現する.さらに②両側に固定電極を有する双方向駆動構造のデバイスの設計,ウエハアライメントを含む接合プロセスの開発を進める.これは応答性の向上が期待できる.これらに基づいて,最終的にデバイス構造を試作し,応答性の向上を実現する.
また,試作したチョッパデバイスを顕微ラマン分光装置の入射光学系に挿入し,単結晶シリコン振動子の共振振動中の局所応力の測定を試みる.

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

実験系についてはほぼ完成した.このため,次年度の研究費は主としてデバイスの製作と評価に充てることになる.MEMSデバイスの試作と機械的特性評価はは共用設備である京都大学ナノテクノロジーハブ拠点を利用することとなるため,この利用料として研究費を用いる.試作に必要な材料,すなわち,シリコンウエハ,ガラスウエハ,蒸着材料,薬品,またでデバイス試作のためのフォトマスクの購入に用いる.
また,成果について積極的に発表するために,国内外への学会参加に関する費用,さらには学術論文の投稿,掲載に必要な費用としても使用する.

  • Research Products

    (4 results)

All 2012 Other

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results) (of which Invited: 1 results) Book (1 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] Fatigue Testing of Polycrystalline Silicon Thin-film Membrane Using Out-of-plane Bending Vibration2012

    • Author(s)
      Tomoki Tanemura, Shuichi Yamashita, Hiroyuki Wado, Yukihiro, Takeuchi, Toshiyuki Tsuchiya, Osamu Tabata
    • Journal Title

      Japanese Journal of Applied Physics

      Volume: 51 Pages: 11PA02

    • DOI

      10.1143/JJAP.51.11PA02

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] Material and Device Reliability in Si MEMS Sensors2012

    • Author(s)
      Toshiyuki Tsuchiya
    • Organizer
      The 6th IEEE Asia-Pacific Conference on Transducers and Micro-Nano Technology (APCOT2012)
    • Place of Presentation
      Nanjing, China
    • Year and Date
      20120708-20120711
    • Invited
  • [Book] シリコンの破壊と疲労(第1編 第12章 3節) 服部敏雄他編:破壊力学大系2012

    • Author(s)
      佐藤 一雄,土屋智由
    • Total Pages
      9
    • Publisher
      エヌ・ティー・エス
  • [Remarks] 研究室ホームページ

    • URL

      http://www.nms.me.kyoto-u.ac.jp

URL: 

Published: 2014-07-24  

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