2012 Fiscal Year Research-status Report
「伊勢湾台風復興住宅」の建築デザインに関する史的研究
Project/Area Number |
24656359
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
堀田 典裕 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00283391)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 伊勢湾台風 / 復興 / 復興住宅 / 農村住宅 / コンクリートブロック / 干拓地 / 堤防 / 勝田千利 |
Research Abstract |
2012年度における本研究の実施内容は、(1)「伊勢湾台風復興住宅」に関する全容解明、(2) 主要干拓地の踏査調査からなる二点に大別でき、こうした成果の一部は2013年度日本建築学会北海道大会において口頭発表する予定である。以下に概要を記述する。 (1)「伊勢湾台風復興住宅」に関する全容解明について:愛知県図書館と愛知県公文書館における資料調査と、本年度入手した関連図書の内容から、鍋田干拓(愛知県弥富市鍋田町)136棟、川口干拓(同碧南市川口町)33棟、平坂干拓(同西尾市南奥田町)24棟からなる補強コンクリートブロック造の「伊勢湾台風復興住宅」が、勝田千利によって設計され、財団法人 日本開拓協会ブロック建築指導所によって建設されたことが確認できた。また、鍋田干拓については「愛知県鍋田碧南平坂干拓農住宅標準設計図」と「確認申請資料(副)」を入手することができたことは、大きな成果であった。 (2) 主要干拓地の踏査調査について:鍋田干拓と平坂干拓において、実測調査と聞取調査を行い、「伊勢湾台風復興住宅」に関する建造物リストが作成できたことは大きな成果である。その結果、鍋田干拓では49棟、川口干拓では19棟、平坂干拓では16棟がそれぞれ現存することが確認できた。これらの情報をもとに、「伊勢湾台風復興住宅」の平面図・立面図・断面図・軸測投影図(1:50)および模型(1:100)を作成することができたこと、また、鍋田干拓と平坂干拓について、干拓以前・干拓以後(被災以前)・干拓以後(被災以後)の国土地理院発行2万5千分1地形図と現況の2千5百1都市計画図を入手し、建設当時の干拓地全体に関する軸測投影図(1:15000)を作成することができたことは特筆に値する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度内に「伊勢湾台風復興住宅」の全容が概ね明らかになったことと、鍋田干拓と平坂干拓について実測調査と聞取調査を行うことができ、建造物リストと各種図面が作成できたこと、を考慮すれば、本年度の研究は概ね順調な進展であったと言える。しかしながら、(1)文献資料を見つけることができず、全容が以前不明のままである事例(城南干拓(三重県桑名市立田町および太平町))が残されていることと、(2)全容は解明できたが、当該自治体との連絡と調査補助作業員の不足という理由から、実測調査を行うことができなかった事例(川口干拓)が、次年度以降の継続研究内容として残された。これらについては、早急に補足調査を行う予定であるが、いずれも想定内の出来事である。 ところで、調査対象干拓地は、自家用車以外の交通手段によるアクセスが極めて不便であることから、予定通りに旅費を使用することができなかった。また、調査方法の工夫によって、調査補助者への謝金は最低限で済むことがわかったが、本研究に関連する災害復興住宅関連図書および干拓裏関連図書は、当初想定していた以上に必要となることが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、まず前年度の継続研究内容について、補足調査を行う予定である。文献資料を見つけることができず全容が以前不明のままである城南干拓については、次年度以降、三重県立図書館と三重県立博物館にて悉皆調査を行う予定である。また、実測調査を行うことができなかった川口干拓については、次年度の比較的早い段階で補足調査を行う予定である。 一方、次年度以降は、第二次世界大戦後における主要な干拓地開発との比較分析を行うため、八郎潟や児島湾などの事例に関する巡検を開始する。次年度以降は旅費として研究費を積極的に使用するとともに、調査現場にて使用するために軽量なノートブックPCとデジタルカメラを購入し、作業効率を向上させたいと考えている。また、本研究に関連する災害復興住宅関連図書および干拓裏関連図書については、次年度以降も継続して資料を購入する予定であるとともに、国立国会図書館と国立公文書館を中心として、農林省関連資料の収集に務める予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(1 results)