2013 Fiscal Year Annual Research Report
表面プラズモンの誘導放出による次世代型ナノ情報発生源の開発
Project/Area Number |
24656385
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤田 晃司 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50314240)
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Keywords | 表面プラズモン / プラズモニクス / ナノレーザー |
Research Abstract |
半導体電子回路の集積密度は飽和を迎えつつあり,これを克服する一つのアプローチとして速く信号を伝えられる光回路を組み込むことが提案されているが,光の回折限界により光回路を微細化された電子回路に組み込むことは困難である。本研究では,高速性と微細性を兼ね備えた次世代情報伝達・処理回路の要素技術を開発するため,電子と光を結び付ける技術として,金属/誘電体の界面に局在する電磁モード(表面プラズモンポラリトン)に注目した。特に,金属/誘電体のナノ積層構造の誘電体層に量子ドット等の利得媒質を導入し,表面プラズモンの誘導放出に相当するスペーザー発振(ナノレーザー)実現のための材料設計指針の確立を目指した。 数値計算の手法を用いていくつかの予備検討を重ねた結果,利得媒質を含む球状の誘電体ナノ粒子に金属キャップを被せたコア-シェル構造において特異なスぺ-ザ-発振の可能性を見出した。具体的には、利得をもつ半径が100ナノメートルのシリカ粒子に10ナノメートル厚のAgキャップを被せた構造に対して光を入射し、入射方向をさまざまに変えたときのプラズモンの挙動を調べた。その結果,(1) 電気四極子のプラズモン共鳴モードが指向性をもつスぺーザーをもたらすこと,(2) 入射光の方向に依存せず,金属キャップの軸方向に沿って電磁波が放出されること,(3) 球状の誘電体ナノ粒子のまわりを完全に金属で覆った構造に比べて,金属キャップの構造の方が放出される電磁波の強度が高いことなどが明らかになった。このような現象はコア-シェル型構造の対称性を球対称から低下させるだけで現れる。
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