2013 Fiscal Year Research-status Report
製紙スラッジ由来セルロースナノ繊維の低コスト抽出法の開発とバイオ複合材料への応用
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24656394
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
高木 均 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (20171423)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ナカガイト アントニオ・ノリオ 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 講師 (50523156)
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Keywords | セルロースナノ繊維 / 製紙スラッジ |
Research Abstract |
今年度は,廃棄セルロース源として古新聞に加えてトイレットぺーバーと2社の企業から入手した製紙スラッジを使用してセルロースナノファイバーの抽出実験を行った.使用した抽出処理方法は,昨年度と同様の化学薬品を用いたケミカル処理と超音波照射を用いた物理的処理を組み合わせた方法である. 以下に示す各処理を行った後,走査型電子顕微鏡により繊維表面の形態観察を行った.まず,原料をメカニカルミキサーで粉砕した後,水酸化ナトリウムを使用してパルプ中のヘミセルロースの除去を行った.その後,亜塩素酸を用いたブリーチング処理によりリグニンの除去と脱墨(漂白)処理を同時に行う.この処理により灰色のパルプは白色に変化した.最後の化学処理として硫酸を用いてセルロースナノファイバー中のアモルファス(非晶質)部分の除去を行った.この段階ではパルプ表面近傍のみの部分的なナノ繊維化が行われている状況であった.その後の超音波分散機によるソニケーション処理により,最終的に直径10-40nmのセルロースナノファイバーになっていることを確認した.このようにセルロースナノファイバーの抽出には成功した.今年度は水洗前に中和処理を行って歩留まりの低下を防いだ. 上述の処理方法により抽出したセルロースナノファイバーを用いた生分解性複合材料の試作とその力学的特性評価を行った.用いた生分解性樹脂は水溶解性を有するポリビニルアルコールである.その結果,セルロースナノファイバーを10wt%添加した複合材料を試作し,引張試験により力学的特性の評価を行った.その結果,試作した生分解性複合材料は無添加の樹脂単体材よりも高強度,高弾性であることを確認した.特に製紙スラッジ由来のセルロースナノファイバーで強化した複合材料において著しい強度特性の向上が見られた.この原因について次年度に評価を行う予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的どおり,製紙スラッジを用いてセルロースナノ繊維の抽出実験(原料の開繊,漂白処理,アルカリ処理,硫酸処理処理,超音波照射)を行い,各段階での組織を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察しその構造変化について調査した.そしてさらに,開繊したセルロースナノ繊維と生分解性樹脂であるポリビニルアルコールとを組み合わせた生分解性複合材料の試作を行い,抽出したセルロースナノ繊維による強化が発現することを確認した.
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Strategy for Future Research Activity |
製紙スラッジから抽出したセルロースナノ繊維の形態,ならびに含まれている無機材料の同定を行う.またこの無機材料とセルロースの分離を試みる.そしてこれを用いたポリビニルアルコール/セルロースナノ繊維複合材料を試作し,この強度と弾性率に及ぼす繊維および無機材料の量と形態の影響について調査する.
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Research Products
(5 results)