2012 Fiscal Year Research-status Report
“その場”合成同時着磁法による各種磁性材料の低コスト製造技術の開発
Project/Area Number |
24656459
|
Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
友重 竜一 崇城大学, 工学部, 教授 (90258640)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宗像 誠 崇城大学, 情報学部, 教授 (10183112)
竹澤 昌晃 九州工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20312671)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 燃焼合成 / 磁性体 / 着磁 / アルニコ |
Research Abstract |
(1)無磁場環境下での燃焼合成実験:原料が比較的安価な金属系Alnico 磁性合金組成のうちJIS規格に示される組成を複数ピックアップし、その組成に応じた素粉末を秤量・混合後、乾燥させ、油圧プレス機でペレット状成形体を作製した。次に無磁場環境下で燃焼合成実験を行い適切な合成条件を求めた。反応容器には自作したセラミックス容器を用い、また、反応を補助するためのTi+Al+C混合粉末を試料周囲に配して、金属コイルヒーターに数十秒間通電加熱することで反応を行った。その結果、Alnico 合金のキュリー温度である800℃以上の温度域で20~30秒間、高温を維持できた。この半溶融状態を狙って着磁を行う。得られた試料をX線回折実験と走査型電子顕微鏡(SEM)観察・組成分析(EDS)観察に供したところ、目的のAlnico 合金の生成を確認すると共に、副生成物の弱磁性相のNiAl相なども観察された。また、チタンを多く含む組成で反応は活性であり、合成温度も比較的高くなる傾向があった。試料は合成温度が極端に高くなかったことから多孔質になった。(2)磁場中燃焼合成実験:上記と同様な手法で用意した成形体を最大約24kOe の磁場を発生させることのできる電磁石式着磁装置の中央位置に容器ごとセットし、その場で合成を実施した。ここでは着磁効果を上げるために板厚が薄いペレット状とした。その後、着磁装置を作動させ着磁させた 。各磁性体試料に特有なキュリー点より高い温度域から磁場をかけ続け、得られた試料の微細組織を調べた。その結果、高チタン組成の試料のものでは、強磁性相FeCo相中に弱磁性相が複雑に入り込む組織形態になりやすいことを見いだした。 (3)磁性体の特性評価:いくつかの試料を振動型磁力計 (VSM)による保磁力、飽和磁束密度等の磁気特性を測定したが、現時点では既存の磁性体には及ばない特性であった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
磁気特性の評価についての進捗状況が若干思わしくないが、試料の作製方法については概ね確立出来つつある。また微細組織観察結果において、磁気特性との関連を明らかにする手が掛かりが得られたことは予期せぬ収穫であった。反応温度、微細組織と磁気特性の三者間の関連を明瞭にしていくことが可能になるものと期待している。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1)Kerr 効果顕微鏡による磁性体の磁気工学的特性評価: 試料表面をダイヤモンド研磨剤で鏡面研磨し、磁性体内部のミクロな磁化情報である磁区構造を可視化できる Kerr 効果顕微鏡を用いて磁性材料としての機能の発現機構を調べる。(2)上記の研究内容の検証と希土類系磁性体作製方針の策定:金属系磁性体の結果をもとに、合成反応温度と微細組織、磁気特性の発現との関連について、当該研究グループに関わる各専門分野の研究者らと詳細に討議し、それらの結論をフィードバックしながら適切な合成同時着磁法の確立を目指す。(3)希土類系磁性体に対する磁場中燃焼合成実験:上記で策定された方針に従い、希土類系磁性体に関して磁場中燃焼合成実験を進める。具体的には、無磁場および磁場下での合成実験、X 線回折実験による生成相の同定、機械的性質の測定、磁気特性の評価、各種顕微鏡観察による組織観察および磁区構造観察を行い、磁性材料としての適性を総合的に評価する。なお、上記(2)において、共同・連携研究者との検証の結果、十分ではないと判断されれば、上記の希土類系磁性体の作製ではなく、金属系磁性体の実験に最終年度を費やすこともありうる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
反応開始用に金属コイルを用いているが、同コイルはセラミック容器内で試料と接触させている。それを磁場中に置いた場合、激しい振動が生じ、試料を破壊する現象も観察された。このことから、安定的に合成試料を得るために装置を改良するために研究費を利用する予定である。
|