2013 Fiscal Year Annual Research Report
水素吸蔵合金アクチュエータを利用した新しい地熱発電
Project/Area Number |
24656538
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
加藤 昌治 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10250474)
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Keywords | 地熱エネルギー |
Research Abstract |
本研究では,従来の地熱発電では利用できなかった低エンタルピー地熱資源(中低温の地熱・温泉水)の有効活用を目指して,水素吸蔵合金アクチュエータを用いた新しい原理に基づく発電システムの開発を目指している.本研究において実施した内容とその重要性は以下のようである.(1)水素ガス経路自律切替器を設計し,熱源があれば外部動力なしに動作を持続する3連非同期型の水素吸蔵合金アクチュエータを製作した.熱源の温度範囲に適合したAB5型の水素吸蔵合金を熱伝達を考慮して内部が多重構造になっている合金容器に充填した.配管の接続には,ガス漏れを抑制するために必要に応じてロウ付けを実施した.(2)水素吸蔵合金アクチュエータに適した低速回転に対応可能な多極式発電機を自作した.併せて,アクチュエータと発電機を接続するためのギヤに工夫を凝らし,製作した連結架台に固定している.(3)発電システムの能力を最大限に引き出すために,3連非同期型のアクチュエータの動作を評価し,アクチュエータと発電機の接続の最適化について検討した.(4)本研究で開発した水素吸蔵合金アクチュエータを利用した地熱発電システムを地熱地域に設置する場合に考慮しなければならない条件を検討した.現場で地熱・温泉水を利用するためには,スケールの問題,配管の腐食の問題等,考慮しなければならない点がいくつもあることがわかった.(5)地熱開発サイトに本発電システムを設置した場合に考えられる動作上の問題を実験的に検討した.高温側熱源として温水を使用し,低温側熱源として雪氷水を利用して,水素吸蔵合金アクチュエータを動作させ,発電機を回して,発電システムの出力と熱効率が最大となるように検討した.(6)本研究の総括:他の再生可能エネルギーと比較したときの地熱の長所,そして本地熱発電システムの利点を整理して示すことができた.
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