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2013 Fiscal Year Research-status Report

原子力ムラの構造分析から合意形成論へ

Research Project

Project/Area Number 24656566
Research InstitutionTokyo Institute of Technology

Principal Investigator

澤田 哲生  東京工業大学, 原子炉工学研究所, 助教 (20235469)

Keywords原子力ムラ / 合意形成論 / 京都大学原子核工学 / 東京大学原子力工学 / 原子力・放射線の中等教育 / 二項対立 / 対話
Research Abstract

1.原子力ムラの構造分析 京都大学原子核工学専攻および東京大学原子力工学専攻について、その創成期における構造を分析した。京大原子核が物理および化学工学を基盤にしている一方、東大原子力は電気化学工学の影響が強いことが分析の結果判明した。また、原子核・原子力工学発祥以前、1954年の原子力予算の成立から間もなく、それまで日本の原子力研究開発を牽引しようとしていた物理学者グループ(素粒子論物理学者を中心とする)が原子力への関与を断絶したことが文献調査および聞き取り調査で明らかとなった。またそこにはビキニ事件による『死の灰』による乗組員の死亡原因を〝原爆症〟による肝炎でるとしたことも関与している。実際の原因は原爆症ではなく、不適切な輸血によるC型肝炎の発症であった。なお、当時はまだC型肝炎は発見されていなかった。一方、原子核・原子力工学科の衰亡の原因について、いくつかの仮定を得た。1)原子力工学は原子核物理や臨界等の枢要な知識・技術に比較的疎い先達によって開始された疑義がある。2)原子力工学は原子核物理の工学的展開よりは政策論を重視した系先がある。3)原子核・原子力工学の各講座は約3代で衰亡している。講座間の知識・経験の横の繋がりが希薄。講座長のいわゆるボス化による自滅的衰退の傾向が見られる。
2.合意形成論 合意形成論の構築のために、2つの研究を展開した。1)中高校生への原子力・放射線の出前授業と原子力発電所見学。このなかで、賛成・反対に囚われず、原子力を理解し、どうするべきかを考えて行こうという姿勢が生徒のなかに芽生えた。2)推進・反対の二項対立を超える対話の機会の創成と実践。これは二項対立の深層にあるもの、感情かシステムかその他の何かか、を見極め再発見する対話である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

文献調査等はほぼ予定通りに行うことができているが、50年の過去歴の実態を知るためには当時を知る〝生の声〟を集めて補足し、実態を浮き彫りにする必要がある。要は人物探しなのであるが、高齢なる場合が多く的確なる人物を探し当てるのにやや時間を要している。原子力ムラの構成にあっては、産・官・学の癒着構造の分析がひとつの急用なサブテーマとしてあるが、産業界に関しては文献が稀少であること、産業界の人物からの聞き取りが難しいことがある。合意形成論に関しては、いくつかの発見があったので、こちらは当初予定よりもいくぶん進展が速やかである。

Strategy for Future Research Activity

1.原子力ムラの構造分析ー京大、東大に加えて、阪大、東北大を分析する。京大、東大についてはより幅広く証言を集める。産業界における原子力ムラの聞き取り調査をはじめ、産学の癒着の基本構造を明らかにする。
2.中高生の原子力・放射線に対する教育活動および対話フォーラムを試行する。また、原子力推進派と脱原子力派の二項対立を超える対話を継続する。このような試行・実践のなかから、原子力・放射線問題に関して〝あるべき〟ステークホルダーミーティングの基本構成と運用手法について明らかにする。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

すでに他項目にて説明したように、当初計画よりも遅れている研究サブ項目がある。つまり、「原子力ムラの構造分析」である。一方、もうひとつのサブ項目「合意形成論」については、過去2年は試行錯誤を繰り返してきており、実践研究の展開がやや遅れていた。ただし、過去2年の試行錯誤で2つの基軸がかなり明確化出来たので、今年度は多層的な展開を行っていく。成果報告としての国際会議での発表が昨年は未だ実施出来るに至らなかった。また論文誌への発表(掲載費)も遅れている。さらに、実践研究が遅れているため、会議会場費、謝金等の支出が昨年はなかった。
1.旅費:国際会議・学界での発表を実施する。
2.その他諸雑費(物品費、謝金、その他):会議およびフォーラムの開催、学術論文掲載費などに充てる。

  • Research Products

    (2 results)

All 2014 2013

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] SOCIOLOGICAL ASPECT OF POST-3.11 FUKUSHIMA DAIICHI ACCIDENT ERA AND THE “GENSHIRYOKU-MURA (NUCLEAR VILLAGE OR PRO-NUCLEAR CONCESSION SECTOR)2014

    • Author(s)
      TETSUO SAWADA
    • Organizer
      PBNC2014
    • Place of Presentation
      バンクーバ(カナダ)
    • Year and Date
      20140824-20140828
  • [Presentation] 原子力ムラの構造分析から合意形成論へ(2) -京大ムラの構造-2013

    • Author(s)
      澤田哲生
    • Organizer
      日本原子力学会2013秋の大会
    • Place of Presentation
      八戸工業大学
    • Year and Date
      20130903-20130905

URL: 

Published: 2015-05-28  

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