2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24657085
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
広瀬 茂久 東京工業大学, 生命理工学研究科, 教授 (10134199)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | ルート効果ヘモグロビン / 解糖系 / 乳酸輸送体 / Fructose bisphosphatase / 空転サイクル / 熱発生 / 対向流血管系 / ガス腺 |
Research Abstract |
1. 乳酸輸送体の特性と動態解析 (1)ガス腺細胞に発現する乳酸輸送体:ガス腺細胞に発現している乳酸輸送体MCT4b(Monocarboxylate transporter 4b)の特性を電気生理学的に解析し,高親和性の輸送体であることを明らかにした。抗体染色によりMCT4bがガス腺細胞の毛細血管寄りに発現していることも明らかにした。(2)対向流血管系に発現する乳酸輸送体:対向流血管系には,別のサブタイプMCT1bが発現していること,しかも動脈側の毛細血管内皮細胞にのみ発現し,静脈側には発現していないという興味深い事実を見出した。MCT1bは乳酸に対する親和性が低く,対向流血管系における乳酸の回収に理想的な輸送体である。対向流血管系に乳酸輸送体が配置されているという驚くべき発見は,グルコースを効率よくガス腺細胞に届けるための仕組みと共役したもので,他の対向流血管系の役割を考える際にも大いに参考になると期待される。 2. ATP消費 代謝トリック(空転サイクル)と熱発生の生理的意義の解明 (1) 空転サイクルの存在証明:浮き袋のガス腺細胞に予想外の酵素(Fbp: Fructose bisphosphatase)が特異的に高発現していることを見つけた。この結果は,ガス腺細胞で代謝の空転サイクルが作動していることを示唆する。空転サイクルとして有名なのは,褐色脂肪細胞のミトコンドリアにおけるATP合成系の空回りで熱を発生させる。私たちが見つけた系はこれとはメカニズムが異なり,解糖系の一部が空回りする空転代謝サイクルであるが,この場合も熱が発生する。熱の発生によってガス腺組織の温度が上がれば,気体の溶解度が減少し,浮き袋内にガスを閉じ込め易くなる故に,生理学的にも重要な過程といえる。
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Research Products
(2 results)