2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24657162
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
三浦 郁夫 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (10173973)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 性染色体 / 性決定 |
Outline of Annual Research Achievements |
性が遺伝的に決定する仕組みには、XY型とZW型の2つの代表的なタイプが存在する。我が国には、2つのタイプを地域集団に有するツチガエルが生息する。とくに関ヶ原付近では両タイプの集団が近接し、まさに雌雄を決する戦いが展開されている。近年、その周辺において、既に両タイプが接触した結果、性決定の仕組みが一方に収束した集団を発見した。本研究では、この集団を遺伝学的、実験発生学的に解析し、接触によって展開された性決定機構変換の実態を解明する。そして、XY型とZW型相互変換の進化仮説を提唱することを目的とする。 平成26年度には以下の結果を得た。 1.ZX♀x ZZ♂の交配による新ZW型性決定機構進化の再現:琵琶湖周辺に発見した新しいZW型集団は、もとのZW型集団とそれに隣接するXY型集団が交雑した結果、性決定機構がZW型に収束したというのが私達の仮説である。昨年度までの実験により、この新しいZW集団のW染色体はもとのZW集団由来のW染色体ではなく、XY集団のX染色体由来であることがわかった。それゆえ、ZX♀x ZZ♂(ないしはZY♂)が新ZW型性決定機構の原型であると予想される。そこで、実際に実験室でその交配を再現した。3つの交配シリーズでは、それぞれ子供のZXの多くがメス、多くがオス、オスとメスがほぼ半分となり、ZXがほぼ全てメスになるという私達の予想とは異なる結果となった。 2.混在地帯における野外交配の観察:滋賀県甲賀市の集団では、現在、ZW型とXY型が接触する状態にあると予想される。実際、この集団で5つの卵塊を採集し、そこから発生した幼生の性連鎖遺伝子マーカーを調べ、親の性染色体構成を推定した。その結果、いずれの親も、ZW型メスとXY型オスの組み合わせであることが予想された。 以上の結果と昨年度までの結果を加え、性決定機構変換の仮説を構築した。
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