2013 Fiscal Year Annual Research Report
夜間行動観察への挑戦:霊長類初の反芻行動の適応的意義と対捕食者戦略の解明
Project/Area Number |
24657170
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松田 一希 京都大学, 霊長類研究所, 助教 (90533480)
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Keywords | 夜間観察 / 霊長類 / テングザル / 捕食者 / 糞粒度 |
Research Abstract |
昼行性野生動物が夜の時間をどのように使い、どのように睡眠をとるかを明らかにした研究は少ない。本研究では、夜間観察を通して、①テングザルで観察された霊長類初の反芻行動の適応的意義、②対捕食者戦略の2点を検討することを目的とした。昨年度は、テングザルと同所的に生息するアジア産霊長類6種とアフリカ産霊長類7種の糞の粒度に着目して、テングザルでのみ観察されている反芻行動が,食物の消化に効率的に働いている適応的な行動であることを強く示唆する結果を提示した。 そこで当該年度では、実際に夜の観察を通してテングザルの反芻行動の頻度を定量化することに多くの力を注いだ。テングザルは葉食に特化し長い消化時間を要するため、夜間は食物消化に多大な時間を費やすことができる絶好の時間帯である。今までの本種における日中の行動観察では、反芻行動の多くは早朝に観察されていることから、本行動はむしろ夜間に高頻度で発現している可能性が高いと推測していた。夜間の行動観察を行うための機材調達と、観察プロトコルの確立に多くの時間を要したものの、夜間にもテングザルが反芻行動をしていることを確認することができた。 また、夜間は静かに泊まり木で眠っているとの予想に反し、テングザルは頻繁に目を覚まし、時には激しいディスプレイも行うことを確認することができた。これらの観察から、昼行性霊長類、特にテングザルにとって夜間は、単なる睡眠の時間ではなく、採食、捕食者回避戦略を検討するための重要な時間帯であることが初めて明らかになった。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Faecal particle size in free-ranging primates supports ‘rumination’ strategy in the proboscis monkey (Nasalis larvatus)2014
Author(s)
Matsuda I, Tuuga A, Hashimoto C, Bernard H, Yamagiwa J, Fritz J, Tsubokawa K, Yayota M, Murai T, Iwata Y, Clauss M
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Journal Title
Oecologia
Volume: 174
Pages: 1127-1137
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Coming down from the trees: Is terrestrial activity in Bornean orangutans natural or disturbance driven?2014
Author(s)
Ancrenaz M, Sollmann R, Meijaard E, Hearn AJ, Ross J, Samejima H, Loken B, Cheyne SM, Stark DJ, Gardner PC, Goossens B, Mohamed A, Bohm T, Matsuda I, Nakabayasi M, Lee SK, Bernard H, Brodie I, Wich S, Fredriksson G, Hanya G, Harrison ME, Kanamori T, Kretzschmar P, Macdonald DW, Riger P, Spehar S, Ambu LN, Wilting A
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 4
Pages: 4024
DOI
Peer Reviewed
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