2013 Fiscal Year Annual Research Report
暑い・寒いという印象が体温調節反応に与える効果およびその個人差の検討
Project/Area Number |
24657175
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
綿貫 茂喜 九州大学, 芸術工学研究科(研究院), 教授 (00158677)
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Keywords | 全身的共関 / 体温調節 |
Research Abstract |
本研究の目的は暑い・寒いという印象による視覚刺激が、実際の体温調節反応に影響を与えるかを明らかにすることを目的とした。まず最初の実験として気温28℃湿度50%の環境下で、暑い印象及び寒い印象の映像を呈示し、呈示前と呈示中の被験者の生理反応を測定した。測定項目は心拍数、血圧、心拍出量等で、主に循環系の変化に注目した。その結果、28℃の環境下では暑い映像、寒い映像を呈示した時に、心拍変動や総末梢血管抵抗が有意に変化した。すなわち暑い映像条件では実際の暑熱曝露時の血管が拡張する傾向があり、寒い映像条件では血管が収縮、心拍数が低下する等の反応が見られた。これらのことから、印象の異なる暑さ・寒さの視覚刺激がヒトの生理反応に影響することが明らかになった。次の実験では、実際に暑い環境・寒い環境で映像を呈示した場合、末梢の温熱受容と中枢の視覚情報に齟齬が起こるかどうかを検討した。その結果、室温を低下させながら暑い映像を呈示した場合、深部体温が寒い映像を提示した場合よりも有意に低下したことから、中枢への視覚情報が体温調節反応に影響を及ぼしたことが示唆された。一方で、映像の効果が体温調節反応に見られない被験者もおり、印象の寄与には個人差があると考えられた。そこで遺伝的背景の一つとしてエネルギー代謝に影響を与えるとされるmtDNA多型との対応を探ったが、関連を明らかにすることはできなかった。本研究から、仮説通り体温調節反応が視覚情報によって影響を受けることが示唆された。一方で、影響を受ける個体とそうでない個体にもたらす要因は、今後さらに検討する必要があると考えられた。
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Research Products
(1 results)