2013 Fiscal Year Research-status Report
寡少日射・寒冷地域における藻油産生微細藻類の周年培養システムの開発
Project/Area Number |
24658209
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
中野 和弘 新潟大学, 自然科学系, 教授 (70188994)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 慎太郎 新潟大学, 自然科学系, 助教 (70452076)
中野 隆之 鹿児島純心女子大学, 看護栄養学部, 教授 (30155783)
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Keywords | 微細藻類 / ユーグレナ / 周年培養 / 近赤外分光法 / 比増殖速度 / 倍加時間 / パラミロン |
Research Abstract |
1.CO2添加による藻類増殖への効果: CO2濃度を10~15%、30~35%に調製して添加した場合と実験室内の通常の空気を添加した場合の比較では、最終的な個体数では大きな違いが見られなかった。しかし、倍加時間ではCO2濃度10~15%が最も速い結果となった。濃度100%のCO2を添加する場合は、通常の空気も添加することで4日目まで対数増殖期の維持が可能となった。 2.藻類の個体数、乾燥重量、油脂重量の推定: 分光分析によるスペクトルデータから、ユーグレナのスペクトル特性はクロロフィルaと相関が高いことがわかった。そこで、クロロフィルaの吸収波長である680nmを説明変数の第1波長として固定し、第2波長以降を変数増減法により選択する方法と、すべての説明変数を変数増減法により選択する方法により、重回帰式の作成を検討した。その結果、個体数推定では説明変数686nmによる検量線を得た。同様に乾燥重量推定においては、説明変数680nm,846nm,908nmによる検量線を得た。油脂重量推定では、説明変数680nmによる検量線を得た。このことから、680nm付近の波長を説明変数に選択することで、個体数、乾燥重量、油脂重量の3つを推定できることが分かった。この結果は、前年度の個体数と乾燥重量の推定とほぼ同様の結果であることからも、再現性のある結果であることが確認された。 3.パラミロンの吸光波長の特定: パラミロン粉末、青汁の懸濁液およびユーグレナ培養液から取得した吸光度二次微分値のスペクトルデータを検討した。その結果、パラミロン懸濁液とユーグレナ培養液からパラミロンの存在を示唆する吸光波長を特定することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分光分析法により藻類の個体数、乾燥重量、油脂重量を非破壊的に推定できることが示された。これらの成果は、次年度の微細藻類培養状況を迅速に評価できる方法として採用できる。 また、パラミロンの存在を示す波長が特定できたことは、培養液内の油脂量推定の可能性を示すものであり、藻類の周年培養法が大きく前進するものと期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
培養液に濃度100%のCO2を添加する際は、時間をかけるか微粒化して添加するなどの検討が必要となる。CO2を継続的に添加した場合の油脂抽出を行い、CO2添加による油脂量への影響を評価する必要がある。 連続培養においては浮遊物が発生するなどのコンタミネーションを起こす危険性が高いため、培養中の十分な滅菌方法、培養液の入替え方法を確立する必要がある。また、実際に収穫した培養液の油脂抽出を行い、収穫回数と油脂量の関係も検討する必要がある。 将来の分散型培養のために、屋外培養や培地の変更などが個体数等の検量線に与える影響を検証する必要がある。また、油脂やパラミロンの組成を考慮すると、色彩に左右されない近赤外波長域における特徴波長の特定は、推定精度の向上につながると考えられる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
発注した物品が、予定した額より安い価格で納入されたことによる。 実験用物品費として有効に使う予定である。
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Research Products
(3 results)