2013 Fiscal Year Annual Research Report
脳関門プロスタグランジン排出制御機構解明と創薬への応用
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24659072
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
細谷 健一 富山大学, 大学院医学薬学研究部(薬学), 教授 (70301033)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 義行 富山大学, 大学院医学薬学研究部(薬学), 准教授 (20377427)
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Keywords | プロスタグランジン / 血液脳関門 / 脳内炎症 / プロスタグランジン合成酵素 / 神経伝達物質 / 血液脳脊髄液関門 / リポ多糖 / PGE2 |
Research Abstract |
本研究では炎症時における脳関門プロスタグランジン排出輸送の減弱について、その分子的な要因解明と、その制御法確立を目的としている。昨年度の研究について、L-PGDS抗体を用いた解析にて、脳室を満たす脳脊髄液へのPGD2供給にL-PGDSが関与する可能性が示唆されたものの、もう一つのPGD2合成酵素であるH-PGDSの脳実質グリア細胞における発現が報告されていることから、脳実質からのPGD2クリアランスに、循環血液と脳実質とを隔てる血液脳関門 (BBB) が関与することが考えられた。そこで、脳実質からBBBを介したPGD2排出輸送を評価した。ラット大脳皮質マイクロインジェクション法 (brain efflux index法, BEI法)を用い、in vivo BBBを介した[3H]PGD2排出輸送を評価した結果、BBBを介し[3H]PGD2は排出輸送され、その排出は非標識PGD2共存によって減弱した。この排出輸送について、BBBに発現する有機アニオン輸送担体であるorganic anion transporter 3 (OAT3)などの阻害剤を共存させることによって有意に阻害されたことから、BBBを介したPGD2排出輸送にこれら輸送担体が関与することが示唆された。脳内PGD2濃度は炎症時において濃度が上昇すること、そしてその上昇には脳内PGD2産生が寄与することがこれまで報告されている。リポ多糖投与によって炎症を惹起させたラットにおけるBBBを介したPGD2排出輸送の変化をBEI法にて検証した結果、炎症惹起ラットにおいてBBBを介したPGD2排出機能は有意に低下していた。従って、炎症時における脳内PGD2濃度上昇には、少なくとも一部、BBBを介したPGD2排出輸送機能変動が関与する可能性が考えられた。今後、その変動について分子的要因を探り、その制御戦略を構築する予定である。
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Research Products
(1 results)