2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24659238
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
打出 喜義 金沢大学, 医学系, 協力研究員 (00168709)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 真希 金沢大学, 保健学系, 助教 (60547181)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 中絶医療 / 比較研究 / オランダ |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度実施研究の成果: 2014年3月13日、オランダ・アルンヘム(Arnhem)にあるミルドレッド・ルトヘルスハイス・クリニック(Mildred Rutgershuis kliniek、オランダで最初にできた中絶クリニック)で、オランダ中絶医協会(NGvA, Nederlandse Genootschap van Abortusartsen)前会長オルハ・ルーバー医師(Olga Loeber〈MD〉)に行なったインタビューの文字起こし、及び、オランダ妊娠中絶法評価報告書抄訳を作成し、オランダとわが国の中絶医療実態の比較研究を試みた。 本研究から判った事: 1984年にオンデマンド(請求次第)で中絶が認められたオランダでは、中絶医療は健康保険の対象ではあるが、匿名化はなされていた。中絶の95%はクリニックで行なわれており、その方法はディスポ・プラスティック吸引法が主流であった。病院では薬剤による中絶も行なわれているが、中絶クリニックではあまり行なわれていない模様であった。中絶希望患者に対し、医師には養子縁組制度など中絶回避のための説明が義務づけられ、5日間の待機期間を経ても中絶意志が変わらなければ中絶を受けられる制度があった。中絶施設は、ペンションのような概観で清潔で明るく施術後は中絶後ケアとして十分なカウンセリングの機会があった。オランダの中絶率は増加しており出生数1000のうち8件となっているが、その主な理由は被西欧諸国からの移民で、その原因には文化的背景などが関わっているとの話があり、オランダ人に中絶が少ない理由としてカルヴァン主義的背景が挙げられていた。 本研究の意義、重要性: オランダの中絶医療の現況調査により、わが国における(1)早期からの性教育(リプロダクティブ・ヘルス、ライツ)、(2)中絶法の改善、(3)カウンセリング(ケア)の必要性が再認識された。
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Remarks |
オランダでの中絶医療のインタビュー内容(約1.8万字)とオランダ妊娠中絶法評価報告書抄訳(約9万字)は、Webページに掲載予定。
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