2012 Fiscal Year Research-status Report
次世代行列(NGM)を利用したインフルエンザ感染モデルの開発研究
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24659313
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
神垣 太郎 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80451524)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | インフルエンザ / 接触行列 |
Research Abstract |
インフルエンザはそのウイルス学的特徴から抗原性が全く異なる新型インフルエンザの出現が起こり得ることが知られており、その出現により大きな社会的インパクトをもたらすことは2009年のパンデミックの経験からも記憶に新しい。パンデミック(H1N1)2009では、感染症モデルを利用した罹患者数の推定や感染性に関するパラメータの推定などがリアルタイムで行われ対策に大きく寄与した。 一方で多くが免疫を持っていないために急速に感染が拡大して大流行に至るという理論背景を持つ感染症モデルによって様々なインフルエンザ対策の評価がなされてきた。これまでのモデルでは世代における接触機会や頻度は均一であるという前提で検討されていたが、近年の研究では世代間での接触には違いがあり、これが地域の流行動態に影響する可能性が指摘されている(Mossong PLoS Med,2008)。 さらにベトナムにおける世代間の接触者調査では、家庭での接触率がヨーロッパでの先行研究よりも高いことが明らかになっており(Horby, PLoS One, 2011)、異なる文化や社会構造を持つ我が国でもこれまでの先行研究だけでは世代間の接触の違いが分からない事が考えられる。同世代の接触よりもわが国における世代間の接触頻度を明らかにする目的をもつ本研究では、平成24年度に広島市の2つの区に居住する人口を対象に、年齢毎に割り付けた350名に対しての接触調査が終了した。また同市内におけるインフルエンザ患者に関する情報収集を行ってきた。平成25年度はこれらのデータを元にわが国における年齢階層ごとの接触行列の構築を行うとともに、インフルエンザ感染モデルの構築を通してそれぞれの年齢層の流行動態における影響について研究を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に記載していたシーズンにおけるインフルエンザ患者の動向把握は既存のサーベイランスによりデータ収集を行うことができた。またソーシャルネットワーク調査は、広島市の350名を対象に1週間の接触者に関する調査を2013年1-2月にかけて実施した。次のステップとしては、これらのデータを元に接触行列の構築を行うこと、インフルエンザの流行における各年齢層の影響について知見を深めていくことがあり、これらを研究2年目である平成25年度に実施する。以上のことから、研究計画は概ね順調に達成されているものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、集めたデータの解析が主となる。350名を対象に収集したデータより各年齢層の接触対象者及びその頻度を明らかにしていきながら、年齢階層ごとの接触率を考えて接触行列を構築する。その後、2012/13年シーズンのインフルエンザの流行とあわせて年齢毎の接触率が流行に与える影響を検討していく。これらの成果はいくつかの学会発表及びディスカッションを通して深めていくとともに最終的に学術誌への投稿を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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