2013 Fiscal Year Research-status Report
CD26の腎疾患における先端治療法としての分子標的療法の基礎的研究
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24659419
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
小林 政司 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (80408400)
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Keywords | CD26DPPIV |
Research Abstract |
CD26 dipeptidyl peptidase IV(DPPIV)は腎臓や血管内皮に発現していることから、血清可溶性CD26が糸球体腎炎、血管炎及び膠原病に伴う腎障害において疾患活動性の有用なバイオマーカーとなる可能性が推測される。一方DPPIV阻害剤による糖尿病治療の治療効果には個体差が存在する。その原因として個体間のCD26DPPIVの酵素活性、血清可溶性CD26濃度、糖尿病性腎症及び慢性腎臓病における腎臓及び血管内皮でのCD26の発現量の低下等が推測される。順天堂大学大学院医学研究科免疫病・がん先端治療学講座森本幾夫教授(東京大学名誉教授)の協力のもと慢性腎臓病(chronic kidney disease:以下CKD)患者の血清可溶性CD26濃度及びDPPIV活性を測定した結果、CKD各stageにおける血清可溶性CD26DPPIV及びCD26DPPIV活性に有意差は認められなかった。そこで腎病理組織検査において半月体形成性糸球体腎炎を認めるANCA関連血管炎患者において血清可溶性CD26DPPIV及びCD26DPPIV活性を検討した。その結果、ANCA関連血管炎治療前後において、腎機能障害の程度にかかわらず、疾患活動性が高い時は血清可溶性CD26DPPIV及びCD26DPPIV活性は共に低値であったが、治療に伴い疾患活動性が低下するに従って血清可溶性CD26DPPIV及びCD26DPPIV活性は治療前値より上昇する傾向が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
検討対象疾患の検体の定期的な入手が困難であり、解析可能となる十分な検体数が得られていないため、研究課題の遂行にやや遅れを認めている。
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Strategy for Future Research Activity |
CD26の腎疾患における先端治療法としての分子標的療法の基礎的研究の課題における臨床検体を用いた生化学的また免疫組織化学的検討を継続する予定である。 特に糸球体腎炎、血管炎及び膠原病に伴う腎障害を認める疾患患者の疾患活動性と血清可溶性CD26濃度及びCD26DPPIV活性の相関を検討し、バイオマーカーとしての有用性に関して評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
CD26の腎疾患における先端治療法としての分子標的療法の基礎的研究において、現在、健常人を対象とした基礎的研究に関してはおおかた順調に達成できているが、臨床検体を用いた研究に関しては解析可能となる十分な検体が得られていないため、その研究に必要とする研究費に残金が発生した状況である。 次年度ではCD26の腎疾患における先端治療法としての分子標的療法の基礎的研究の課題における臨床検体を用いた生化学的また免疫組織化学的検討を継続する予定である。 未使用の助成金に関して、前述の検討を遂行するための免疫学用試薬及び生化学用試薬等の消耗品費に使用する予定である。また本研究成果を学会発表するための旅費及び論文発表用の経費として使用する予定である。
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