2012 Fiscal Year Research-status Report
中性子照射により広域分子追跡及び定位破壊力をもつボロントレースドラッグの創生
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24659566
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
堀 均 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (90119008)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇都 義浩 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 准教授 (20304553)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ボロントレースドラッグ / 中性子 |
Research Abstract |
本研究の目的は、中性子照射により広域分子追跡及び定位破壊力をもつボロントレースドラッグの創生である。ボロントレースドラッグは、含有する約20%のB-10の中性子捕捉能による莫大なエネルギーによる分子破壊力と放出される即発ガンマ線による高感度トレーサビリティ機能をもつ、全く新しい次世代低炭素型医薬品である。本年度は、フェノール性BODIPY含有フェノール誘導体およびBF2含有クルクミノイド誘導体を分子設計・合成し、中性子照射による標的分子の破壊能を評価した。 フェノール性BODIPY含有抗化薬剤UTX-42、43、44は、フェノール部分とBODIPY部分を直列に縮合させたもので、DPPHおよび過酸化脂質反応に対する抗酸化活性実験を評価したところ、全ての化合物はBODIPY内に含有するホウ素原子の存在に影響せず、BODIPYを含まないフェノール部分だけ化合物と比較してより高い抗酸化活性を示した。 BF2含有クルクミノイド UTX-51の分子設計は、ボロントレース分子スキャフォールドとしてクルクミノイドを選び、ホウ素原子を埋め込むべく、分子軌道法計算によるモレキュラーモデリングにより構造最適化し、化学合成した。 各サンプルの中性子実験は、京都大学原子炉実験所の原子炉および京大エネルギー理工学研究所南3号棟に設置されている放電型核融合中性子源を用いた。ターゲット分子として血清タンパクBSAに対する中性子照射による破壊実験を行った。その結果、すべての化合物において、SDS-PAGE電気泳動におけるバンドは検出限界以下であり、ターゲット分子の破壊を確認した。以上の結果より、ボロントレースドラッグは中性子照射により標的分子の破壊能を有する新規薬剤であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた化合物の分子設計および合成に成功しており、また、中性子照射による標的タンパク質の破壊実験を行い、予想どおり標的分子を破壊できることを示した。よって、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の計画として、既に医薬品として利用されている抗がん剤にホウ素原子を導入した新規抗癌剤の分子設計・合成を行い、それら候補分子の抗腫瘍活性および薬物動態解析を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ホウ素含有抗がん剤の合成に必要な有機試薬代として20万円、抗腫瘍活性の評価に必要な腫瘍細胞・血清・キット類に30万円、研究成果発表のための旅費として10万円を計上している。
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Research Products
(3 results)