2012 Fiscal Year Research-status Report
膠芽腫に対する新規血管新生抑制療法:光線力学療法と合成ペプチド療法
Project/Area Number |
24659645
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
高野 晋吾 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (50292553)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上羽 哲也 福岡大学, 医学部, 准教授 (00314203)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 膠芽腫 / 血管新生抑制 / 光線力学療法 / ホモロジーボックス / 組織因子 / endoglin / jagged-1 / VEGF |
Research Abstract |
膠芽腫に対するVEGF中和抗体の劇的な効果は一時的であるため、ほかの手段による血管新生抑制療法が必要である。膠芽腫血管を標的とした新しい血管新生抑制療法として光線力学療法(PDT)と合成ペプチド療法の効果を明らかにする。PDTは膠芽腫組織から分離・同定される腫瘍血管に特異的な分子を標的とする。合成ペプチドはVEGF蛋白のアンチセンスホモロジーボックス(AHB)からの合成ペプチドを作成することで、VEGF中和抗体では抑制できないVEGF高次構造の抑制による機能抑制を目指す。 初年度はPDTで使用するマウスクラニアルウィンドウモデルを確立し、インターフェロン投与による蛍光ラベルした白血球の粘着能の低下、その低下がVEGF中和抗体でもとに戻ることを明らかにした(未発表)。PDTのように腫瘍血管の継時的変化をみるためには、ウィンドウの頭蓋骨への固定方法に工夫が必要であった。 tissue factor特異的ポルフィリンをこのモデルで用いるべく、Yale大学のDr. Hoと契約を取り交わしてポルフィリンを入手した。合成ペプチドに関してはVEGF AHBの設定を行っている。 これら初年度の実績であるvivoモデルの確立と、tissue factor特異的ポルフィリンの入手と、VEGF AHB設定に基づき、合成ペプチドの材料を取り揃え、本年度の実験を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究に含まれる2つの実験、光線力学療法(PDT)と合成ペプチドの実験に必須なマウスクラニアルウィンドウモデルの作成が難しかった。リアルタイムに血管新生の程度を評価するために、血小板、白血球の粘着能、白血球のローリング程度をパラメーターとして、血管新生抑制作用の明らかなインターフェロンでその効果を確かめ、モデルの確立を行った。特にウィンドウと頭蓋骨の固定に工夫が必要で、腫瘍移植後1,2,3週間までの観察が可能となった。また、PDTに関してはtissue factor特異的なベルテポルフィリンの入手にYale大学との正式な契約書が必要となり作成に時間がかかった。ベルテポルフィリンの入手量は微量でvivoでは、数回分はないため、前実験としてインターフェロンによる実験が必要となった。1週間ごとの経過観察のほかに、1日間でのタイムラプスでの評価も有効であることがわかり、顕微鏡の選択を行っている。これらハード面での問題点を初年度で解決するのに時間がかかったが、次年度以降は問題点を克服しvivoデータが評価できる。合成ペプチドに関してはVEGFアンチセンスホモロジーボックス(AHB)の設定に時間がかかるが、設定ができればペプチド合成は容易であると考える。合成ペプチドの効果はpositive control, negative controlに加えて、数種類のcontrolっが必要となる。合成には費用がかかるため、最初はvitroでの評価から始める。
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Strategy for Future Research Activity |
マウスクラニアロウィンドウ、VEGF耐性モデル共に確立はできたので、今後は材料を整えて用いる段階である。しかしながら、ポルフィリンの入手量あるいは合成ペプチドの量が少ないことが予想され、vivo実験より、vitro実験で結果を出すことも考える。 合成ペプチドによる膠芽腫血管新生の抑制in vitro :合成ペプチド投与による膠芽腫細胞、GBMECの増殖抑制をWST assayで、GBMECの遊走能、管腔形成能の抑制を評価する。 膠芽腫血管新生因子接合VPによるPDT in vitro:ヒト膠芽腫細胞 (U87, U251)およびヒト膠芽腫内皮細胞(GBMEC1, 2, 3)を96 well plateに播種し、Jagged1-VP、Endoglin-VPを培養液にいれ、90分培養後に635nmのレーザー照射を行い、生存細胞数を数える Vivo実験に十分なポルフィリンおよび合成ペプチドが得られればvivo実験を行う。合成ペプチドによる膠芽腫血管新生の抑制in vivo in the brain:膠芽腫細胞(U87MG)をSCIDマウス脳内に定位的に移植し、合成ペプチドは尾静脈より全身投与する。腫瘍増殖抑制効果、組織での血管新生抑制程度を評価する。対象として、無治療群とVEGF中和抗体使用群を設ける。 膠芽腫血管新生因子接合VPによるPDT:作成したJagged1-VPおよびEndoglin-VPのPDTによる効果をin vivoで確かめる。ヒト膠芽腫細胞(U87細胞)のSCIDマウス・クラニアルウィンドウモデルにより評価する。モデルで腫瘍移植後7, 14, 21日後に、Jagged1-VP、Endoglin-VPを尾静脈より投与後90分で、635nmのレーザー照射を行い、腫瘍の大きさの測定を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
マウスクラニアルウィンドウモデルで各種ベルテポルフィリンの効果を確かめる、VEGF耐性モデルでも同様の実験を行う。2種類のvivoモデルで数種類のポルフィリンの効果を見るためにSCIDマウスの購入が必要である。PDTに関しては初年度行えなかった新型レーザーシステムの購入を行う。新規腫瘍血管因子のjagged-1およびendoglinのポルフィリンでの接合に関しては、研究協力者のDr. Ho (Yale大学)の意見を聞きながら行っていく。VEGF AHBのぺプチド合成に関しては共同研究者の上羽先生の研究室で作成する。合成ペプチドはpositive control, negative controlも含めて数種類が必要であり、1ペプチドあたり20万円を予定している。新規に必要な設備は上記のレーザーシステム以外にはない。 脳神経外科領域のほかの血管新生病への応用:膠芽腫で新規血管新生抑制療法の効果が成功した場合には脳神経外科領域のほかの血管新生病であるdural Arterio-venous fistula (dAVF)、choronic subdural hematoma(CSDH)、carotid plaqueのvivoモデルへの展開を考える。
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Research Products
(9 results)