2013 Fiscal Year Annual Research Report
エナメル器星状網細胞の上皮間葉転換は血管新生の誘導メカニズムになり得るか?
Project/Area Number |
24659818
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
原田 英光 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (70271210)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
依田 浩子 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (60293213)
大津 圭史 岩手医科大学, 歯学部, 助教 (60509066)
井関 祥子 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (80251544)
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Keywords | 歯の発生 / 血管構築 / 上皮間葉転換 |
Research Abstract |
歯の発生過程では,後期になるとエナメル器星状網は血管が複雑に入り込んだ構造を形成するようになる。血管新生の分子機構は,細胞培養や分子生物学的研究から解明されつつあるが不明な点も多い。そこで,この星状網と血管新生との関係を詳細に調べることによって,従来にない血管新生の新しいメカニズムの発見につながると考えた。我々は,星状網細胞の一部がビメンチンやslugなどを発現する結果を得たことから,上皮間葉転換(EMT)によって生じる間葉系幹細胞(MSC)が血管新生に重要な役割を果たしている可能性を考え,この仮説を証明する計画を立てた。上皮特異的プロモーターを用いた(K14-cre)マウスとRosa26Rマウス(あるいはRosa26R-YFP)の交配によるTGマウス(K14-cre/Rosa26R)の作製とK14-cre/Rosa26Rエナメル上皮細胞株を作製した(昨年度)。この細胞株を用いた培養では,TGF-βの存在下で間葉系細胞マーカーやslugなどのEMTマーカーが上昇することが認められた。また血管内皮細胞との関係を調べるためにFlk1(VEGF2R)―GFPマウスによる歯胚周囲での血管構築を観察した。その結果,歯胚周囲に血管網を構築した後に,鐘状期後期なると星状網内に血管内皮細胞が浸潤して中間層細胞の外側に新たな血管網を構築することを認めた。この血管構築とエナメル芽細胞の分化とは密接に関連していた。星状網細胞の発生との関連を調べるために,GFPマウスを用いて歯胚発生過程での細胞の動態を観察した。その結果,星状網の細胞は内エナメル上皮細胞の増殖によって中間層細胞を経由して発生することが明らかとなった。血管と星状網との構築については,現在TGマウス(K14-cre/Rosa26R)とFlk1(VEGF2R)―GFPマウスとを交配してリアルタイムで星状網内の血管構築を観察することによってさらに明らかにしていく予定である。
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Research Products
(3 results)