2012 Fiscal Year Research-status Report
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24660048
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Nagano College of Nursing |
Principal Investigator |
多賀谷 昭 長野県看護大学, 看護学部, 教授 (70117951)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 人間生活環境 / 里山 / 健康資源開発 / 尺度開発 / ソーシャルキャピタル |
Research Abstract |
1.平成24年度には、長野県南部の中山間地域の集落6か所を踏査し、聞き込みと観察をおこなった。また、里山の特性および機能を明瞭するためには、それと大きく異なる特徴を持つ環境を比較対象に加える必要があることが明らかになってきたので、当初の計画にはなかったが、中部地方の都市部および東北地方の震災被災地におけるコミュニティを観察・聞き込みの対象に加えた。 2.上の結果に基づいて、2か所の主たる調査地を選定し、農作業や収穫祭における参加観察(3回)とインタビュー(計12人)によりデータを収集した。調査は、所属機関の倫理委員会の審査を経て承認を受けて行った。 3.これまでに行った調査と収集したデータにより、相互扶助や他者の信頼といった従来のソーシャルキャピタル概念の範疇に入るもの以外に、土地や自然に対する愛着、時間や生活の流れに対する感覚的な安心感のような、新たな要素が、里山の健康資源として浮かび上がってきている。 4.データの中間分析結果に基づいて、現在、質問紙の作成と並行して、補足データの収集を継続中である。これには、Iターンしてきた人々の見方の調査が含まれている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
参加観察記録とインタビューデータの分析の結果にもとづいて、補足のための調査を行っているので、その点では予定から遅れ気味であるが、これは計画書以上に視野を広げたためであり、計画した内容については、ほぼ予定通り進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
1)年度の前半は、前年度に得られた結果およびAida ら(2011)が用いた既存のソーシャルキャピタル尺度を参考にして質問項目を作成し、数人の対象者に試行して修正する。 2)開発する尺度の妥当性や実用性の検討に用いるために使用する尺度を、既存の健康状態測定尺度の中から選定する。 3)これらに人口学的属性と地理学的属性を加えて構成した質問紙を用いて、前年度に調査した地区の住民計1000人程度を対象として、質問紙調査を実施する。調査に先立ち、所属機関の倫理審査を経て承認を受け、行政機関に説明して理解を得ておく。調査の依頼状、質問紙、および返送用の封筒の対象者への配布を地域の住民に依頼し、回答は各自郵送してもらう。 4)返送された回答のデータを入力し、統計分析を行い、尺度の信頼性、妥当性、実用性の検討を行なう。信頼性については内的整合性および安定性を検討し、妥当性については並存妥当性を検討するとともに、エスノグラフィックな記載・分析との照合を行う。実用性の検討においては、調査地に赴いて解釈の確認を行う。 5)信頼性、妥当性、実用性の検討の結果に基づいて質問項目を精選し、尺度を完成させる。 6)研究成果を学会発表し、論文にして学術雑誌に投稿する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1.物品費は、主に質問紙の作成と調査実施に使用する封筒などに使用する。 2.旅費は、主に質問紙調査およびその結果の確認のための調査に使用する。 3.人件費・謝金は、主に質問紙調査対象者および協力者への謝礼として使用する。 4.その他は、主に質問紙の返送のための切手代である。
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