2012 Fiscal Year Annual Research Report
被災地域の子どもにおける体力及び体調の変化と身体活動の習慣化に関する長期追跡研究
Project/Area Number |
24680065
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
鈴木 宏哉 東北学院大学, 教養学部, 准教授 (60412376)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 体力 / 身体活動 / 子ども / 体調 / 東日本大震災 |
Research Abstract |
(1)被災状況の異なる地域の子どもを対象とした比較分析: 対象者は東松島市(住居移転を余儀なくされた生徒が約10%:被害少群)と女川町(住居移転を余儀なくされた生徒が約60%:被害多群)の中学校に通う男女573名であった.調査は2011年の9月頃に実施された.調査項目は部活動所属状況,1週間の総運動時間,健康関連QoLであった.κ2検定の結果,1週間の総運動時間の割合(60分未満,60分以上420分未満,420分以上)について,被害少群と被害多群の間に有意差は認められなかった.しかし,60分未満者の割合は一般青年と比較して低い値を示した.また被害多群では1週間の総運動時間と部活動所属状況の間に強い関連性が認められた.被害状況別に行った対応のないt検定の結果では,被害多群においてのみ運動部に所属する群と所属していない群との感情の機能得点に有意差が認められた.以上の結果から,1)被災地域に住む中学生の身体活動量は被災状況の多少にかかわらず低い傾向にある.2)被害多群における部活動所属状況と身体活動量の関連性は被害少群と比べ強い.3)運動部所属は被害多群においてのみ感情面にポジティブな影響を及ぼす. (2)被災地における震災後半年後と一年後の比較分析: 宮城県女川町の小学4年生から中学3年生の全児童生徒420名を対象とした.対象者のうち被災により住居移転を余儀なくされた子どもは53.7%であった.調査は,2011年9月と2012年3月に自記式質問調査で行われた.調査項目は,1週間の総運動時間(PAwk),健康関連QoLであった.PAwkが60分未満の子どもは半年後(一年後)で小学男子12.2%(16.2%),小学女子45.4%(51.6鋤,中学男子16.7%(14.7%),中学女子42.6%(48.8%)であった.QoL総合得点については半年後(一年後)で小学生81.9±13.4点(84.4±11.3点),中学生79.8±13.2点(78.9±14.8点)であった.1週間の総運動時間とQoL総合得点は,いずれの集団においても半年後と一年後に有意差は認められなかった.沿岸部被災地域の子どもの身体活動量と健康関連QoLにおける半年ごと一年後の変化は認められず,先行研究の標準値と比べ低い傾向にある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通りに調査を実施することができた.その結果,計画したデータの収集をすべて行うことができた.ただし,データ収集はできたものの,まだ一部の収集データについては分析が済んでいないため.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は,被災地域をフィールドとして,被災地域に住む児童生徒の調査及び介入を行う研究であるため,現地スタッフを継続して雇用し,研究代表者としても現地教育関係者や地域住民との信頼関係の構築に努める、
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Research Products
(12 results)