2013 Fiscal Year Annual Research Report
国内最大規模の人工水路を用いた天然ダム決壊の実証実験を通じた危険度評価指標の提案
Project/Area Number |
24681037
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
岡田 康彦 独立行政法人森林総合研究所, 水土保全研究領域, 主任研究員 (50360376)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 天然ダム |
Research Abstract |
天然ダム(地すべりダム)の浸食・決壊機構の解明を目指し、大型の水路模型を利用した実証実験を実施した。大型水路は、長さが20m超、幅1mで、天然ダム模型背後の水位を徐々にあげる静的な水圧載荷条件から、急激な水流を与える動的な条件までを実施可能な仕様を有する。今年度は、0.001m3/sの流量で水位を徐々に上昇させる静的な載荷条件で実験を実施した。 実験に使用した土砂は風化花崗岩で、0.96m3の土砂を台形状に緩詰めして天然ダムを模し、勾配2度に設定した水路に形成した。土量を変えずに、天然ダム模型前面の傾斜を変えた3回(2度勾配の水路に対して急傾斜45.0度、中傾斜26.6度、緩傾斜18.4度)の実験を行ってその浸食・決壊の動態を調べた。 前斜面傾斜が45.0度および26.6度の天然ダム模型では、水位が0.6mに達する前、つまり、越流が開始する前に、天然ダム模型前面部で末端侵食および崩壊が発生した。使用したマサ土は透水性が高く、ダム背後で湛水し終える前にダム最前部まで水が浸透した。2度勾配の水路上で45.0度および26.6度の傾斜と相当量の傾斜があったため、水でほぼ飽和した土層が侵食/崩壊した。 前斜面傾斜を18.4度に与えた実験では、これも天然ダム背後で水位が0.6mに達する前に浸透水がダム最前部に到達したが、前斜面部で崩壊には至らず侵食が少し発生する程度に留まっていた。その後、ダムの頂面を水が徐々に流れはじめ、浸透水と合わさりダム全体がほぼ水に満たされて細溝が出来はじめると同時にダム模型前部傾斜の上端付近から崩壊した。これらから、ダム前斜面の侵食や崩壊が、ダム自体の決壊に大きく影響を及ぼすことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内最大級の大型水路(長さ20m超)を対象とした実証実験を複数回実施することにより、天然ダム(地すべりダム)模型の前斜面の侵食や崩壊が、ダム自体の決壊に大きく影響を及ぼすことを示すなど、研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
ダム模型前斜面の侵食や崩壊が、ダム自体の決壊を引き起こす機構をより詳細に検討するため、粒度の異なる試料を用いて密度等を変化させた供試体を作成し、静的な水位変化あるいは急激な水流を与える模型実験を繰り返して、危険度を評価する。
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