2014 Fiscal Year Annual Research Report
「注意バイアス調整治療法」の効果評価研究―神経科学的作用機序に着目して―
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24683025
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
袴田 優子 東京大学, 教育学研究科(研究院), 講師 (30450612)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 注意バイアス調整治療法 / 認知バイアス / コルチゾール / 核磁気共鳴画像 / ストレス / 不安 / 情動 / ランダム化比較対照試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度と同様に、対象者のリクルートを継続し、臨床症状の有無に関する構造化面接、精神状態に関する心理学的および認知科学的評価、機能および構造核磁気共鳴画像(MRI)の撮像、内分泌反応の計測を実施した(基礎データは223名まで収集している)。
これまでに集積している基礎データ105名の神経認知について解析を行い、神経認知機能と注意バイアスとの間に有意な関連を見出した。特に、注意バイアスの強い人は、注意に関連する認知機能が有意に低かった。このことは、特定の領域における認知機能低下またはその発達不全が、同領域におけるバイアス(情動刺激に対する偏った情報処理)を助長する可能性を示唆するものであった。この結果について、Frontiers in Psychology誌(査読有)に論文公開した。 また、介入前時点での機能的MRIデータ41名については、既に解析を終了し、現在、国際誌に論文投稿している。 さらに、機能的MRIにより扁桃体活動を測定するうえでの最適パラメータの決定に関する実験成果について、The 23rd The Section for Magnetic Resonance Technologists (SMRT)およびThe 14th Asia-Oceania Congress of Medical Physics (AOCMP)においてポスター発表し、SMRTでは学会賞を受賞した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者が所属先を異動したため、実験系統の整備を行う必要があり(MRI以外)、データ収集において、やや遅延している。なお、これまでに集積しているデータで成果をまとめることができるものについては順次、解析・発表準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、対象者リクルートを行ってゆく。東京大学の全学掲示板を利用する等、実験参加者人数の確保に努める。目標症例達成数には徐々に近づきつつあるため、引き続き、得られたデータを解析し、論文公開および学会発表等に向けた準備も進めてゆく予定である。
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Causes of Carryover |
北里大学病院新設に伴いMRI装置使用不可期間が生じたことや研究代表者の異動に伴い実験系統の再整備を行う必要が生じたこと等から、全般的に実験が遅延したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
引き続き、対象者のリクルートを継続し、余った研究費は謝金・人件費に充当予定である。また、一部実験機器の補充を行う予定である。成果がまとめられるものについては、論文公開および学会発表を行い、それに関わる費目に支出予定である(論文投稿料、英文校正、旅費、学会参加費等)。
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