2013 Fiscal Year Annual Research Report
イミン架橋制御により動的挙動と動的平衡を制御するダイナミック分子システムの開発
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24685008
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
河合 英敏 東京理科大学, 理学部, 准教授 (50322798)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | イミン / 動的共有結合 / 超分子 / アロステリック効果 / ロタキサン / 分子認識 / 水素結合 / 分子マシン |
Research Abstract |
本研究では、動的共有結合であるイミン結合の平衡状態を構造および運動性の制御を様々な分子モチーフに適用することで、複数の意味からなる“動的構造制御”システムを構築することを目的とし、以下の研究を行った。 平成25年度においては、①刺激や環境変化によって、止まる・進む・回るなど「分子の“動的挙動”を制御する分子マシン」の構築として、(A)イミン架橋型ロタキサンと光駆動型ロタキサンを異種接合することにより複数の外部刺激によりスイッチングするゲート制御型ロタキサン分子シャトルの構築を目的とし、フマルアミドステーション含有イミン架橋型ロタキサンの構築を行い、イミン架橋制御の基づくスイッチング能を調査した。また、アゾベンゼン含有ロタキサン分子の構築を検討した。(B) 回転制御分子の構築として、キラルなヒドリンダセン骨格を二量化したビヒドリンダセンの構築を行った。結晶構造解析から2つのユニット間での協同的な水素結合能を有することを確かめた。 ②刺激や環境変化によって“動的”に構造組成を制御する「ゲスト適応型分子レセプターの“動的”構築」を目的とし、(C)アトロプ異性能をもつジアルデヒドスペーサーを用いたイミン形成に基づく環内に官能基が集中するマクロサイクル型レセプターの動的構築を行った。 ③アロステリック会合能を有するレセプターを用いた超分子コポリマーの構築を行い、アロステリック効果を導入することで、両成分の組成比が多少変化しても重合度(有効鎖長)が保たれる重合度保持効果を見出した。また、超分子ポリマー形成にイミン結合形成を組み込んだ3成分型超分子ポリマーの構築を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で実施している「分子の“動的挙動”を制御する分子マシン」および「ゲスト適応型分子レセプターの“動的構築”」においては、比較的多様な超分子モチーフの開発を目的としている。それぞれの研究課題を並行して進めており、これまで各研究目的を実現するための基本分子ユニットの合成法がほぼ確立し、その物性調査を順次行ってきた。X線構造解析装置の導入によりアトロプ異性体を用いた動的挙動の調査に大きな進展が見られた。今年度、15件の学会発表(ポスター賞1件)を行うとともに、本研究の過程で「アロステリック効果に基づく超分子ポリマーの重合度保持効果」という新しい現象を見出した。最終年度では、目的とする動的挙動・動的構築に向け、これらを組み合わせた機能性の発現を行い、新たな超分子システムとしての確立を目指す予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに実施してきた個々の超分子モチーフの開発を組み合わせることによる高次構造形成能および刺激に応答した構造変化を検討していく予定である。特に光やゲスト認識に伴う構造的/物性的応答性を中心に調査していきたい。本系の特徴であるイミン架橋制御に基づく構造制御やアロステリック効果といった非線形的な制御機構を組み合わせることで、これまでにない新たな動的挙動の発現をめざし、新たな発現原理を提案していきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度、単結晶X線構造解析装置を購入したが、昨年度の時点でその購入費用が判明しなかったため必要額を確保すべく繰り越しを行っていた。実際に購入に必要な額は用意していた額よりやや低額で収まったことから、物品費に残額が生じる結果となった。また、学内での分析装置の配備により依頼測定費が少額で済んだこともあり、残額が生じる結果となった。 これまで合成段階の確立に向け、多様な合成経路を少量スケールで検討してきた。最終年度では確立してきた経路をもとに、それぞれのユニットを組み合わせた検討が必要である。合成段階を精力的に進めるために、これまでの残額は主に消耗品の購入に充てる予定である。また、最終年度では、成果報告を積極的に行う予定であることから旅費および印刷費にも残額を使用する予定である。
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Research Products
(17 results)