2013 Fiscal Year Annual Research Report
高分子自己組織化と浸透圧膨潤を利用した超分子フォトニックゲルの創製
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24685035
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
野呂 篤史 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90377896)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ブロック共重合体 / ナノ相分離構造 / ミクロ相分離構造 / 高分子自己組織化 / フォトニック膜 / イオン液体 / フォトニック結晶 / 超分子ポリマーゲル |
Research Abstract |
平成25年度では、平成24年度に見出したイオン液体膨潤ブロック共重合体フォトニックゲル薄膜作製法(特許を出願)をブロック共重合体ブレンド系へ展開した。 具体的には、まず組成比がほぼ1:1、分子量が8万程度のポリスチレン-b-ポリビニルピリジン(SP)ブロック共重合体と、組成が等しく分子量のみが16万程度と異なるSPブロック共重合体とを様々な重量比で混合した溶液を調製した。この溶液をスピンコートすることでガラス基板上に数μm厚程度の薄膜を作製し、これにP成分のみを溶解するイオン液体を添加した。分子量8万のSP単体の薄膜からは紫色光を反射するフォトニックゲル薄膜が作製できた。一方分子量16万のSP単体の薄膜からはオレンジ色光を反射するフォトニックゲル薄膜が作製できた。それらをブレンドしたものでは、ブレンド重量比に応じて反射する光の色を変化させるフォトニックゲル薄膜となった。すなわち、分子量8万のSPの割合が大きい場合は青色光を反射し、分子量8万のSPと分子量16万のSPの割合が等しいときは緑色光を反射し、分子量16万のSPの割合が大きいときでは黄色光を反射した。これらの実験結果については光反射率測定により反射光波長の定量化を行っている。 イオン液体添加によってフォトニックゲル薄膜が生成する理由を調べるために赤外分光測定を行った。その結果、イオン液体中のプロトンとブロック共重合体P成分中のピリジン基とが水素結合していることが明らかとなった。すなわち、イオン液体とブロック共重合体間の引力相互作用(もしくは超分子相互作用)がきっかけとなり、超分子性のフォトニックゲル薄膜が生成していることが分かった。 これらの成果について学会で発表を行う予定である。また英語論文として報告予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イオン液体で浸したブロック共重合体薄膜に対し、超分子相互作用を生じるオリゴマー分子を組み入れることで超分子フォトニックゲル薄膜を作製することを当初は予定していた。しかし、ブロック共重合体薄膜を単にイオン液体で浸すだけでもフォトニックゲル薄膜とできることが分かった。このフォトニックゲル薄膜内部ではイオン液体自身がブロック共重合体と超分子相互作用を生じており、超分子性のフォトニックゲル薄膜となっていることが分かった。ゆえに本研究課題の主目的はおおよそ達成できており、研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
作製法の確立した超分子性のフォトニックゲル薄膜に対し、温度や応力などの外場を加えたときにどのような応答を示すかを調査する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
大学での公務のため、平成25年度末(平成26年3月)に予定していた海外での学会発表に出席できず、その分だけ旅費を使用することがなかったため。 また消耗品購入費用が当初予定よ少なく済んだため。 平成26年度は研究課題の最終年度であるため、研究成果を発表する機会が多くなると考えている。平成25年度で生じた次年度使用額については研究成果発表のための学会、シンポジウム等参加旅費として使用する予定である。
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