2013 Fiscal Year Annual Research Report
ショットキー接合型SiCプラズモニックトランジスタの創製
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24686008
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
細井 卓治 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90452466)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | SiC / MOSトランジスタ / ショットキー接合 |
Research Abstract |
低炭素社会の実現には半導体パワーデバイスの性能向上が不可欠である。本研究では、SiC特有の物性を活かした動作原理に基づく低エネルギー損失SiCパワーMOSトランジスタの創製を目的とする。平成24年度の成果として、デバイスシミュレーションを用いてショットキーSiC-MOSFETの動作を検証したところ、良好な特性を得るためにはショットキー障壁高さを0.3 eV以下とする必要があることがわかった。そこで本年度は、低ショットキー障壁実現のために真空仕事関数が2~3 eVと非常に低いBaおよびBa酸化物を検討すると共に、MOSFETプロセス上必要となる堆積ゲート絶縁膜としてAlON膜に注目してMOS特性評価を行った。 Ba(あるいはBa酸化物)電極をSi酸化膜上に真空蒸着により形成してMOS構造を形成することでその実効的な仕事関数を評価したところ、Ba単層ではその反応性の高さから著しく安定性に欠けることがわかった。そこで大気中での安定性を高めるため、Ba上にそしてキャップとしてAuまたはAlの積層を試みたところ、キャップ層に依存して仕事関数が変化することを見出した。これはBaの酸化/還元反応に起因すると考えられることから、Ba膜厚やキャップ層材料の選択が重要となることを意味している。 一方で、SiC-MOSFETの本質的な問題として、SiO2中に可動イオンが存在しており、高温条件下でしきい値電圧変動を引き起こすことがわかっているが、AlON/SiO2積層絶縁膜とすることで、可動イオンの移動をSiO2層中に制限することができ、しきい値電圧安定性の向上につながることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
AlONゲート絶縁膜を用いたMOSFET作製プロセスは構築済みであり、AlON膜を用いる利点として従来の熱酸化膜を用いたMOSFETよりも長期安定性に優れることを見出した。一方、ショットキーMOSFET実現に向けてショットキー電極材料の選択に取り組んでおり、Baを用いた低ショットキー障壁実現に向けたプロセス課題の抽出を進めている。安定性およびプロセス適合性といった課題はあるものの、これまで検討してきたNi、Ti、Al、Hfなどの金属よりも低ショットキー障壁が実現可能と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
Ba(BaOx)を電極として、その膜厚条件や積層するキャップ材料を検討することで0.3eV以下の低ショットキー障壁の実現を目指す。また、ソース/ドレイン電極上に積層するための透明導電膜についても成膜・加工プロセスの検討を行う。ゲート電圧印加による金属膜/SiC界面のショットキー障壁変調およびショットキーMOSFET動作については、実験・デバイスシミュレーションの両面から解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ほぼ計画通りに経費は使用した。 少額なので、実験消耗品等の購入に充てる。
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Research Products
(6 results)