2014 Fiscal Year Annual Research Report
全方向駆動歯車による超適応性を備えた動力伝達システムの創成
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24686030
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
多田隈 理一郎 山形大学, 理工学研究科, 准教授 (50520813)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 知能ロボティックス / 知能機械 / 機械要素 |
Outline of Annual Research Achievements |
生活空間の様々な物体に動力伝達機能を持たせ,荷物の搬送や要介護者の移動などにおいて人間を補助することを目標として,任意の曲率を有する自由曲面に対応できる小型・軽量かつ高出力の動力伝達機構を実現するため,平成26年度は,特に,曲率の異なる全方向駆動歯車を組み合わせた動力伝達機構を用いた各種要素技術の開発を進めた. 具体的には,曲率がゼロの平面版全方向駆動歯車と,曲率が正の凸円弧型全方向駆動歯車とを,曲率を有する方向とは垂直な方向で接合する形式で組み合わせた「J型」の全方向駆動歯車を製作し,これをサイドミラーの収納装置として構成して,パシフィコ横浜で2014年11月に開催されたET2014展示会において展示とデモンストレーションを行い,好評を博した. 上記の研究により開発された,任意の曲率を有する自由曲面型の全方向駆動歯車を用いて行った様々な基礎実験によって,様々な物体を,その曲面に沿ったあらゆる方向へと滑らかに駆動できることが明らかとなった.今後は,車載装置を含めた各種の搬送装置やデジタルサイネージなどに,この全方向駆動歯車を応用して,小型・軽量の動力伝達機構を実用化してゆく予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
荷物の搬送や要介護者の移動などにおいて,人を補助することを目標として,任意の曲率を有する自由曲面に対応可能な小型・軽量かつ高出力の動力伝達機構を実現するという方式については,全方向物体搬送テーブルを構成するための基礎的なユニットを2個製作し,それらを連結して搬送トレイの可動範囲を拡張可能であることを実験により証明した. また,小型の全方向駆動歯車を製作して,人を触力覚により誘導する装置としての可能性を,実験により確認した. さらに,曲率がゼロの平面版全方向駆動歯車と,曲率が正の凸円弧型全方向駆動歯車の90度分とを,曲率を有する方向とは垂直な方向で接合する形式で組み合わせた「J型」の全方向駆動歯車を製作し,これまで試作した全方向駆動歯車と同様に,直交する方向に回転軸を有する2個の平歯車によって駆動した.これをサイドミラーの収納装置として構成して,車両用のドアと組み合わせて,パシフィコ横浜で2014年11月に開催されたET2014展示会において展示とデモンストレーションを行い,好評を博した. これらのことから,将来のさらなる発展につながる良好なペースで研究成果を上げることが出来ていると判断できる.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策については,全方向物体搬送テーブルを縦2個,横2個の合計で4個を,縦横に並べて動かせるようにして,2個以上の複数の搬送トレイをその上に配置して,それぞれ独立した任意の方向に駆動して物を運べるようにすることが,まず挙げられる.そのような機能を実現するための,直交する2方向に回転軸を有する複数個の駆動用平歯車の位相角の協調制御の方法を,エンコーダによるフィードバック信号に基づくモータの正確な制御により,実現する必要がある. また,放電加工により,歯の大きさを示すモジュールの値が0.1~0.5の範囲に抑えられるような,小型の全方向駆動歯車も開発を進め,車載機器やデジタルサイネージなど,サイズに制限のある様々な機械に動力伝達機能を付加するための小型・軽量のアクチュエータとして製作を行う.
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Causes of Carryover |
前年度までの研究成果や実験データをまとめて、実用化を強く志向した研究開発を行うために、平成27年度において、デジタルサイネージなどに応用できる平面型全方向駆動歯車や、全方向物体搬送テーブルのための視覚フィードバック系などの開発を進め、コスト低減のための全方向駆動歯車の具体的な加工・製作方法を確立していくと共に、高度に知能的なメカトロニクス系として、全方向駆動歯車の各種装置を、制御アルゴリズムも含めて引き続き開発してゆく必要が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
超高分子量ポリエチレンを使用した平面版全方向駆動歯車の形状などをより最適化し、全方向物体搬送テーブルの駆動用に使用する。さらに、コストを抑えた量産に耐えうる全方向駆動歯車の製造方法を具体的に検討し、そのための試作を繰り返し行うために使用する。自由曲面型の全方向駆動歯車も、その材質を色々と検討しつつ複数種類並行して開発を進め、サイドミラー収納用などの車載機器などに実際に応用できるようにする。
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