2012 Fiscal Year Annual Research Report
コウモリのアクティブ超音波センシングによる実時間空間探索アルゴリズムの解明
Project/Area Number |
24686050
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
飛龍 志津子 同志社大学, 生命医科学部, 准教授 (70449510)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 超音波 / 生物ソナー / コウモリ / センシング / パルス放射方向 |
Research Abstract |
本研究は,標的探索や障害物回避などにおけるコウモリの効率的な超音波センシングの仕組みと,その合理的な運用方法を実験及び理論に基づいて明らかにし,生物が有する機構や設計思想に基づいた新しいナビゲーションアルゴリズムとして提案することを目的としている.具体的には,コウモリが選択する飛行経路と,コウモリの"視線"(コウモリの超音波音声(以下パルス)の放射方向)やアクティブセンシングのタイミングなどの関係を,(1)室内人工環境下,および(2)野生コウモリの高度な飛翔採餌中の音響行動の分析を通じて,実験的に明らかにするための実験を行った.その結果, 1)コウモリのパルス放射方向と飛行の旋回率には相関性があり,視覚動物が移動時において行う視線変化と同様の関係を,音によるセンシングでも行っていることを明らかにした. 2)超音波の指向性の異なる3種類のコウモリ種を用いてパルス放射方向の計測を室内で行ったところ,視野(ビーム幅)に応じたパルス放射方向の調整を適宜,飛行中に行っていることがわかった.また障害物を配置したような複雑な回避飛行では,飛行経路の選択に重要となる障害物方向にパルス放射方向を向けていることを確認した. 3)野生コウモリの飛行軌跡及びパルスの放射方向を大規模マイクロホンアレイを用いた計測した.また飛行軌跡とパルス放射方向の関係を,新しく構築した数理モデルを用いて分析することによって,動態からもコウモリのattentionの変化を定量的に分析することが可能となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コウモリを用いた行動実験の他,あたらしく本申請で提案している数学的なアプローチを取り入れた分析が,おおむね順調に進んでいる.実験に必要なコウモリの確保や,計測装置の構築等も,予定通り行うことができた.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,数理モデルを用いた理論的な考察と合わせて,ロボットへの展開を目指し,簡易型の自律走行車を作成し,コウモリとの対比を進めていく予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
協力研究者(学生)の国際学会への旅費補助および,実機の作成に必要な電子回路部品類等に使用する.なお残高が発生した理由としては,当初予定していた装置(フィルタおよび測量機器)の購入を見送ったことが主な原因である.購入に関しては現在進行中の実験の状態に応じて再度,検討する予定である.
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Research Products
(22 results)