2013 Fiscal Year Annual Research Report
コウモリのアクティブ超音波センシングによる実時間空間探索アルゴリズムの解明
Project/Area Number |
24686050
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
飛龍 志津子 同志社大学, 生命医科学部, 准教授 (70449510)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 障害物回避 / ナビゲーション / 数理モデル / コウモリ |
Research Abstract |
本研究は,複雑な飛行を伴う障害物回避行動中などにおけるコウモリの効率的な超音波センシングの合理的な運用方法を明らかにし,新しいナビゲーションアルゴリズムとして提案することを目的としている.具体的には,コウモリの飛行経路とパルス放射方向,及びセンシングのタイミングなどの関係を,①室内人工環境下,および②野生コウモリに対する屋外実験,の双方から実験的に検討し,さらに数理モデルを用いた分析と合わせて解明を進める.本年度の主な研究成果を以下に挙げる. 1)障害物回避時におけるコウモリの特徴的なパルス放射方向制御に関して,行動実験より得た知見の一部を,試作した自律走行車のセンシング制御のアルゴリズムに搭載し,実機を用いた検証を行った.シンプルな構成で障害物を回避するルールとして有用であることを確認し,同時に音響的な新たな課題もいくつか出てくる結果となった. 2)野生コウモリの飛行軌跡及びパルスの放射方向を計測するためのマイクロホンアレシステムを,これまでの水平から垂直方向へも拡張し,3次元データの取得に成功した.その結果,複数の連続する捕食では,事前に超音波パルスの3次元ビーム内に先のターゲットを捉えていることを,実験的に確認することができた.また昨年度から検討している数理モデルを用いた飛行軌跡の分析を,垂直方向にも適応し,コウモリが飛行方向を水平と垂直とを独立に制御している可能性が見出された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度より開始した数理モデルを用いたコウモリの行動分析が,引き続き順調に進んでいる.またさらに,工学的応用に向けて,自律走行車の製作にも取り掛かることができ,コウモリの行動実験で得られた知見を実際の超音波センシングのアルゴリズムとして,組み入れることができた.これまで目標にしていた工学的応用に近づくことができたと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,現在進行中の自律走行車のさらなる改良を進めていき,より多くのコウモリの知見を組み入れて,障害物回避などの課題を通じた実機の検証を進めて行く.その中で見出された,センシングの課題について検討するために,コウモリを用いた行動実験や,また数理モデルを用いたシミュレーションを活用する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究実施者である代表者本人が,年度途中に出産のため,産前産後休暇を取得したことから,一時的に,研究遂行のスピードが減速した.そのため,実験に必要な消耗品等の購入のペースが若干遅くなった.また休暇前に本来購入予定であった計測用PC数台の購入を,選定のための調査やその他の準備ができないことから,研究に復帰できる次年度に持ち越すことなどにした.合わせて,予定していた海外出張や国内の出張も妊娠を理由にキャンセルしたことから,旅費に関しても当初の計画よりも支出が少なくなり,これらのことから次年度使用額が発生した. 前年度に購入を予定していた計測用PC数台については,すでに購入の手続きを開始している.また最終年度としての研究総括を目的に,今年度は学会等への発表参加もすでに多く予定している.そのため,国内・国際学会への旅費としての使用を多く見込んでいる.また昨年度,実験室の改装を行い(別予算から支出),飛行室が広くなった.そのため,本研究計画を実施するのに必要な,照明装置やマイクロホンや電子部品類などを,いくつか新調する必要がある.次年度使用額の一部はそれらの購入にあてがう予定である.
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Research Products
(19 results)