2012 Fiscal Year Annual Research Report
SiC積層欠陥制御によるバルク量子井戸熱電半導体の実現
Project/Area Number |
24686078
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
原田 俊太 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (30612460)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 熱電変換材料 / 量子井戸構造 / シリコンカーバイト / 積層欠陥 |
Research Abstract |
熱エネルギーと、電気エネルギーの相互変換を可能にする熱電変換材料は、エネルギー有効利用の観点から、注目を集めている。しかし、その性能は未だ低いのが現状であり、劇的な性能向上が求められている。最近の研究で、量子井戸構造による電子の閉じ込めによって、飛躍的に熱電変換特性が向上する事が理論的に予測され、実際に、人工超格子薄膜を用いた実験で、通常のバルク試料を遥かに凌ぐ高い性能指数が報告されている。このような量子構造は人工超格子やヘテロ界面で実現されているが、熱電発電を考えるとバルク結晶中に量子構造を構築する必要がある。本研究ではSiC中の積層欠陥に注目をして、バルク結晶に量子効果を付与することを目的としている。 本年度は、SiC溶液成長において窒素を添加することによって形成する積層欠陥の構造を調査し、積層欠陥によって量子井戸構造が形成するかどうかを検討した結果を下記に示す。 (1)窒素添加4H-SiC溶液成長を行うと3C-SiCと同一の積層順序が6レイヤー(1.5nm)続く、Double Shockley型の積層欠陥が導入される。 (2)窒素雰囲気下で6H-SiC溶液成長を行うと、3C-SiCと同一の積層順序が9レイヤー(2.3nm)続く、Triple Shockley型の積層欠陥が導入される。 (3)添加する窒素量が増加すると、積層欠陥の量が増加する。 (4)(0001)から微傾斜を設けた種結晶上での成長では、積層欠陥はある点を起点として形成し、成長に伴い拡大する。 4H-SiC、6H-SiCのバンドギャップはそれぞれ3.26eV、3.02eVであるが、それらと比較して、積層欠陥部分に形成する3C-Sicのバンドギャップは2.23eVと小さいため、積層欠陥部分は量子井戸構造を有していることが予想される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、SiC中の積層欠陥のキャラクタリゼーション、コントロールが可能であることを示すことができた。また、積層欠陥の構造は量子効果を発現できるものであり、本年度以降は物性との相関解明に専念できる。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の研究から、窒素添加によって形成する積層欠陥は、量子構造を形成するのに適切な構造であることが明らかとなった。今後は添加元素は窒素に固定し、積層欠陥の量やキャリア密度と熱電変換特性の相関を解明することに集中する。
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Research Products
(7 results)