2014 Fiscal Year Annual Research Report
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24689002
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
土肥 寿文 立命館大学, 薬学部, 准教授 (50423116)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 有機化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
超原子価元素の新規な化学挙動を鍵とする本合成研究を四段階にわけ、それぞれを毎年ごとに進展させる。
前年度は、申請者らが本研究を通じて開発した独自の合成手法を用いて、高度に酸化された芳香族由来天然物や天然および非天然型のオリゴフェノール、導電性や光増感作用示す複素環オリゴマーなどの生物活性物質や機能性材料の核構造をターゲットとする合成研究を行った。また本合成に際して、リサイクル型反応剤の適用や反応の有機触媒化を推進することで、環境調和型で実用的な反応系への改良を行い、より理想的な結合形成法としての質的変換を図った。
申請者の開発する有機触媒的な酸化的結合形成法は炭素-水素結合部位を直接的に官能基化や結合形成へと用いるため、理論的に、官能基を消費して結合生成を行う金属触媒を用いるカップリング方法に比べ、多数の官能基が残ったより入手困難な生成物を得るのに都合が良い。そこで、本年度はこれまでの研究背景の下に、目標とする天然物や生物活性物質、高分子重合体等の短工程合成を達成し、独創的な本合成手法の優位性と有用性を実証した。また、申請者らが世界に発信したキラル超原子価ヨウ素種を利用して、興味深い生物活性を示すキラルスピロ炭素を有する天然物の核構造の不斉構築等、ターゲット分子の不斉合成を見据えた研究展開を行った。また、研究計画の着実な遂行に加え、得られた成果を基に応用用途に関する共同研究を進めるため、新たな研究の創造に向けた連携体制を模索した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に掲げた当初の研究目標について、概ね問題無く達成できている。 また、研究成果の公表についても順調に行えている。 研究経費についても、予定どおり無駄なく活用できている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究最終年度となる平成27年度は、前年度までの基盤研究を完遂しつつ、得られた化合物群の機能評価を外部等と共同して行い、新規有用物質の創生を目指す。 さらに、これまでに開発した超原子価種が触媒する独自の合成法を未来に残る持続可能な分子変換技術として遺すことを目指し、クリーンエネルギーの利用や環境にやさしい無溶媒および水中での反応系を開発するなど、質的変換を目指す。また、本触媒法の環境調和性を活かした、資源開発につながる天然バルク原料のグリーン変換プロセスについても検討する。 加えて、関係のある物理化学や計算化学の研究者との連携により、本課題の実験結果と理論化学との整合性を確認し、次の新しい研究提案に向けた論理の拡張を目指す。今年度までに得られた成果を基に応用用途に関する共同研究を進め、新たな研究の創造に向けた連携体制を模索する。 以上の研究の過程で新しく重要と思われるアイデアが見出される可能性があるので、その都度研究計画に取り組み、革新的な融合研究として発展させたい。
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Causes of Carryover |
研究の予想以上の進展に伴い特許等の取得を検討する成果が得られたため、当初予定していた国際学会での研究発表について見送った結果、旅費の支出が当初計画よりも少なくなったことが、次年度使用額が生じた主な理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記に該当する内容の研究については、本年度の国際学会(Pacifichem 2015 他)にて発表する予定である。
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