2014 Fiscal Year Annual Research Report
小児科病棟における医原性有害事象の発生率及びリスク因子測定のための臨床疫学研究
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24689027
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
作間 未織 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (60349587)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 医療の質 / 医原性有害事象 / 小児 / 臨床疫学研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
我が国の小児病棟入院患者において、どのような医療による健康被害(医原性有害事象)がどれくらい発生しているのか、臨床疫学的手法を用いて科学的に検討した報告は皆無である。しかし、適切かつ効果的な医療安全対策のためには、現状を反映したエビデンスが必須であると考え、研究代表者は、我が国の小児入院患者における医原性有害事象について、発生頻度並びに発生状況や事象の詳細を明らかにすることを目的に、研究実施計画に従い本研究を実施した。 前年度に引き続き今年度も二次レビューを進めると共に、医原性有害事象、関連エラー、潜在的有害事象を科学的かつ客観的に、再現性を持って同定するために、医療安全研究の第一人者の一人である森本教授らによって確立された方法(Morimoto T, et al.Qual Saf Health Care 2004)に忠実に従って作成したマニュアルを用いて、十分な訓練を行った看護師レビューワーを一次レビューワーとして雇用し、各施設にて一次データの残り、並びに、二次レビュー後の追加データを収集した。 二次レビューでは、独立した複数の医師レビューワーによるケースレビューを行い、前述した客観的な判定法に従って有害事象又は潜在的有害事象、除外の事象分類を厳密に行っている。更に、事象に関与した医療手技、検査、手術、薬剤などの医療の詳細、並びに健康被害の状況、エラー関与の有無、エラーの関与があれば、そのエラーの種類、エラー段階、責任者などについても詳しい評価を行い、エラーの防止可能性については6段階で分類し、防止可能でない事象については緩和可能性、及び、どの点について緩和可能であるかを評価し、各事象の詳細な分類及び同定作業を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
一次レビュー作業並びに、二次レビューによる追加データ収集に従事するレビューワーのうちの一部が、年度途中で協力が得られなくなったため、予定していた作業量が削減したことにより、進捗状況において遅れが発生した。残りのレビューワーの作業量増量や、代替者確保などの遅延挽回に最大限努めたが、代替者は小児看護経験や十分な事前トレーニングが必要なため確保困難であった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、一次レビューをできる限り迅速に完了し、医師による二次レビューを進めていく。二次レビュー終了後は、全てのデータについて、医師レビューワーによる各事象の分類、判断などの詳細について、Consistencyの確認作業(三次レビュー)を行う。三次レビューが終了したデータは、専任研究補助員により入力を行い、データベースを作成する。その後、作成されたデータベースを用いて、医原性有害事象に関連する医療行為の種類、症状の内容、重症度、予後などの詳細について分析する。また、エラーに関しても、エラー発生のプロセス、防止可能性、緩和可能性、有害事象発生のリスクなどについての分析を進めていく予定である。更に、患者の背景因子や医療現場の状況を反映する因子を用いて、事象全般の発生に関連する因子や防止可能である事象に関連する因子を抽出し、リスクファクターの分析並びに防止できる医原性有害事象についての発生対応策の検討も行う。
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Causes of Carryover |
患者カルテ、看護日誌、手術記録、疑義照会、インシデント・アクシデントレポートなど、患者に関わる全ての資料を網羅的に調査し、研究に必要なデータを収集した一次レビュー作業は、莫大な時間と労力を要することが経験上判明しており、その対応として5名のレビューワーを雇用し、雇用に十分な人件費を予算で計上していたが、健康上の理由並びに個人の事情により、うち3名のレビューワーの研究協力が得られず、レビュー作業量が当初の計画より減少し、人件費に未使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度のレビュー作業量が減少し、研究計画に遅延が生じているため、次年度は迅速に一次レビューを終わらせることを目指す。そのためには、引き続きレビューワーの雇用継続が必要であり、今年度未使用額を、次年度の人件費に充てる。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Adverse drug events and medication errors in Japanese pediatric inpatients: A retrospective cohort study.2014
Author(s)
Sakuma M, Ida H, Nakamura T, Ohta Y, Yamamoto K, Seki S, Hiroi K, Kikuchi K, Nakayama K, Bates DW, Morimoto T.
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Journal Title
BMJ Quality & Safety
Volume: 23
Pages: 830-837
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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