2013 Fiscal Year Annual Research Report
炎症性低分子RNAが司る組織修復制御機構の解明と分子標的核酸医薬の開発
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24689069
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
森 亮一 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (30509310)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 皮膚創傷治癒過程 / 炎症 / miRNA / Foxo / ケロイド |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、皮膚創傷治癒過程における炎症関連 miRNA 及び Foxo ファミリーの機能解析を行った。 炎症関連 miRNA 群については、遺伝子改変マウスを用いた解析を中心に行った。その結果、これら miRNA 群は、皮膚創傷治癒が遅延する病態下において必須であることが示唆された。今後は、これら miRNA 群がどのような遺伝子にどのようなタイミングで作用するか、詳細に解析を行う予定である。そして、治療への応用が期待された場合、核酸投与を中心に機能解析を行う。 Foxo ファミリーの機能解析については、前年度に引き続き in vivo 及び in vitro 解析並びにヒトサンプル用いた解析を中心に行った。その結果、Foxo1 または Foxo1 発現誘導遺伝子は、創傷治癒に有効な生理活性物質の発現調節に関与していることが示唆された。さらに、Foxo1 は、ケラチノサイトの遊走に関与していることが明らかとなった。Foxo1 アンチセンスオリゴについては、通常の皮膚創傷のみならず、創傷治癒が遅延する病態にも応用可能であることが示唆された。今後は、詳細な解析を行うことにより、実用性を高めたいと考えている。また、ヒトケロイド・肥厚性瘢痕部位において、Foxo1 の発現亢進が認められた。今後は、ヒトサンプルを用いた解析を詳細に行うことにより、人種間でのケロイド病態発症の差異の解明に取り組みたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3種類の炎症関連 miRNA 遺伝子改変マウスを用いた解析を、滞りなく行えている。さらに、上記マウスを用いた病態モデルの作成に成功し、病態下における解析にも取り組むことができている。特記すべき事は、炎症関連 miRNA が他の生命現象に関与している事を示す結果が得られたことである。これは予想していない結果であったため、新たな研究の方向性を得ることが出来た。一方、昨年度から取り組んでいる顕微鏡構築も無事終了した。現在は、生細胞イメージング、深部観察イメージングの開発に取り組んでいる。以上の現状を考慮して「②おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、イメージング解析を積極的に取り入れて、新たな実験手法の確立のみならず、新規解析法の一般化に取り組みたいと考えている。それにより、当該領域の発展のみならず、新規分野開拓への波及効果を期待する。 現在用いている遺伝子改変マウスは、全身性である。研究の進展によってはコンディショナルノックアウトマウス等の開発も必要になってくると予想している。その準備も着実に行う。 今後は炎症と組織修復の関係のみならず、新たな炎症性 miRNA の機能発掘という観点から、他の生命現象との関連性を視野に入れて、研究を展開する。
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