2012 Fiscal Year Research-status Report
ワークスティーリングを用いた分散並列環境における遺伝子制御ネットワーク推定手法
Project/Area Number |
24700295
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木戸 善之 大阪大学, 情報科学研究科, 招へい研究員 (70506310)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | スケジューリング / 遺伝子ネットワーク / ネットワーク推定 / 分散並列計算 |
Research Abstract |
本研究では大規模な遺伝子発現プロファイルによる遺伝子制御ネットワークの推定アプリケーションのための分散並列スケジューリング手法の開発を行う. 大規模なネットワーク推定にベイジアンネットワークを用いて探索を行う場合,計算量が指数的に増加することから,遺伝子をランダムサンプリングし部分集合での全件探索を行うことによって遺伝子制御ネットワークの推定を行う.その後,評価関数を用いスコアの高いネットワーク同士を結合し全体を推定する. この手法では遺伝子数nに対しオーダーはO(n^3)であり,結合のオーダーはO(n!)となり大規模な遺伝子制御ネットワークの推定には更なる工夫が必要となる. そこで分散並列アーキテクチャによるワークスティーリング方式に適用することで,ジョブを管理するマスタが有休計算機に対し再割り当てを行い,またスコアの低い部分ネットワークについては計算の打ち切りを行うなどフィードバックスケジューリングの開発を行う. フィードバックスケジューリングではアプリケーションドリブンな制御が入るため,アプリケーションとスケジューリングが一体となる分散並列のアプリケーションとなる.フィードバックする評価関数やスコア,ジョブの序列についてはアプリケーションに依存した形式になることが考えられるが,本研究で重要な点はこれらアプリケーションに特化した部分と汎化できる部分を切り分け,汎化できる部分についてフレームワーク化を行うことにある.フレームワーク化によって遺伝子制御ネットワークの推定アプリケーションだけでなく,並列化によって高速化,効率化が望める科学的アプリケーションに適用することが期待できる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では以下の3つの課題を設定し進めていくとしていた. 1. マスタワーカによるネットワーク分割推定手法の分散並列化 2. マスタワーカ間でのフィードバックスケジューラの適用 3. ワークスティーリング手法による高効率化 本年度では「マスタワーカによるネットワーク分割推定手法の分散並列化」について課題に取り組み,遺伝子制御ネットワークのネットワーク分割による推定手法が先行研究として実施されており,この実装の分散並列化およびデータ通信部分のフレームワーク化に取り組んだ.しかし分散環境の計算機システムの構築に遅れが生じ,また研究者自身の異動もあり設備も異動したことから,開発スケジュールに遅れが生じた. 対外的な発表としてはGenome Informatics 2012 (GIW2012)におけるポスター発表"Estimate Dynamic Gene Regulatory Networks in Adipocyte Differentiation for Detecting Changes of Gene Regulations by Splitting Time Course Data"があり,時系列遺伝子発現プロファイルの評価方法について議論を行い,脂肪細胞の細胞分化誘導における遺伝子制御ネットワーク推定のアプリケーションに反映させた.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度では「マスタワーカ間でのフィードバックスケジューラの適用」の課題について取り組む. 本年度ではネットワーク推定手法の分散並列化およびデータ通信部分のフレームワーク化の開発スケジューリングに遅れが生じ,また対外的な発表も不十分になっている. 本年度の成果を踏まえ,フィードバックスケジューリングの実装を行う予定であったが,データ通信部分のフレームワーク化とフィードバックスケジューリング部分の開発は重なる部分が多い.そのためデータ通信部分フレームワークとそれに対応するアプリケーション改良を同時並行して行うことで開発スケジュールの遅れを取り戻す. また論文や国際会議など積極的な対外的発表を行うよう努める.具体的には環太平洋グリッドミドルウェアのコミュニティのワークショップ,Pacific Rim Applications and Grid Middleware Assembly 25 (PRAGMA25)での発表を予定している.次年度では主にアプリケーションからのフィードバックによるワークスティール手法の適用を見据えたフレームワーク部分の実装になるため主に分散並列関連,具体的には情報処理学会の会議に出席し議論する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は合計800,000円の経費を請求している.その経費は対外的な発表や,論文の校正などに割り当てる予定としている. 物品費320,000円 旅費350,000円 謝金100,000円 として,物品費については計算機の消耗品(ハードディスク)やソフトウェアのアップグレードに割り当てる予定である. 旅費については国際会議(PRAGMA25)と国内会議(情報処理学会)への発表を予定している.また謝金は英文論文校正の費用に割り当てる.
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Research Products
(3 results)