2012 Fiscal Year Research-status Report
脳磁図による平滑性追跡眼球運動に関する脳内メカニズムの研究
Project/Area Number |
24700303
|
Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
森重 健一 富山県立大学, 工学部, 講師 (30433197)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 脳磁図 / ノイズ除去 / 平滑性追跡眼球運動 |
Research Abstract |
平成24年度は、本研究に関する基礎的解析を行った。一つは推定した脳電流の(1)空間的表現の解析であり、もうひとつは(2)時間的表現の解析である。 (1)目の前に提示された白い点を目でゆっくりと追いかける課題を行っているときのMEGデータから、拡張ダイポール法を用いてノイズ源(左右の眼球、心臓)と皮質の電流を同時に推定した。適切なハイパーパラメータを設定して電流推定することで、ノイズ源と皮質表面に配置したダイポールで妥当な大きさの電流が推定できた。また、皮質電流が推定された皮質領域は、眼球運動に関連する領域(lateral occipito-temporal cortex、Intraparietal cortex、Precentral cortex、Medial superior frontal cortexなど)と一致しており、空間的にも妥当な値が得られた。 (2)推定電流の空間的特徴だけでなく、時間的な特徴も表現できているか調べるため、推定電流の時間波形の特徴も調べた。眼球に配置したダイポールでは、視標運動とよく似た特徴を持つ時間波形が得られた。心臓位置に配置したダイポールでは、心拍の特徴であるQRST波が再現できた。皮質領域で推定された電流の試行平均値は、位置や速度、加速度と相関のある電流が推定された。来年度以降、これらの推定された皮質電流を用いて視標の運動情報が再構成できるか試みる予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的を達成するために、平成24年度は、ノイズに歪められた脳磁図データから歪みのない脳電流を推定することが目標である。その検討のために、被験者が目の前に提示された点を目でゆっくりと追いかける課題を遂行しているときの脳磁図データから皮質電流を推定することを試みた。 脳活動だけでなく、ノイズの振る舞いも同時に推定するため、皮質表面全体と左右の眼球中心、心臓位置にもダイポールを配置した。電流推定の際、事前知識として脳活動の空間情報(fMRIの信号強度情報)と個々のノイズ源の信号強度情報を与え、逆問題を解くことで観測データを説明できる皮質電流と眼球・心臓の電流を推定した。その結果、適切なハイパーパラメータを設定して電流推定することで、ノイズ源と皮質表面に配置したダイポールで妥当な大きさの電流が推定できた。また、皮質電流が推定された皮質領域は、眼球運動に関連する領域(lateral occipito-temporal cortex、Intraparietal cortex、Precentral cortex、Medial superior frontal cortexなど)と一致しており、空間的にも妥当な値が得られた。さらに、推定電流の空間的特徴だけでなく、時間的な特徴も表現できているか調べるため、推定電流の時間波形の特徴も調べた。眼球に配置したダイポールでは、視標運動とよく似た特徴を持つ時間波形が得られた。心臓位置に配置したダイポールでは、心拍の特徴であるQRST波が再現できた。皮質領域で推定された電流の試行平均値は、位置や速度、加速度と相関のある電流が推定された。 これらから、本研究の目的を達成するために必要な本年度の研究目標を達成しており、おおむね順調に進展しているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
ノイズに歪められたMEGデータから、眼球運動を反映した皮質電流が得られているならば、その皮質電流から眼球運動を再構成することが可能なはずである。そこで、抽出した皮質電流から眼球運動の再構成を試みる。連続的に変化する皮質電流から運動を再構成するために、スパース推定を用いる。このスパース推定は、実験課題に関係のない脳活動を自動的に省きながら予測モデルを構築する方法である。構築した回帰モデルを利用する事で、皮質表面に配置した約20,000点のダイポール電流から眼球運動の位置、速度、加速度を再構成することを試みる。また、その再構成の善し悪しを通じて、脳活動情報出力精度の善し悪しを評価する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
この予測モデルの構築は、計算コストが大きいため、長い計算時間を要する。計算時間を短縮し、研究の効率アップを計るために、物品費に計上する計算サーバを増設する予定である。また、研究結果を外部に発表するための旅費、論文作成のための英文校正のための予算を計上する。そのことで、研究の目的を達成することを目指す。
|