2012 Fiscal Year Research-status Report
大脳皮質GABAニューロンサブタイプであるシャンデリア細胞特異的マーカーの探索
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24700327
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
江角 重行 熊本大学, 生命科学研究部, 助教 (90404334)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 大脳皮質 / シャンデリア細胞 / GABAニューロン / PV / MGE / マイクロアレイ |
Research Abstract |
平成24年度は、まず移植実験の条件や手法を検討するために全身の細胞でGFPを発現しているGreenマウスの胎生15.5日目のvMGE部位を生後0-2日目野生型マウスの大脳皮質に移植しその形態や細胞数を観察した。その結果、移植された細胞が大脳皮質において、生着していること、またその一部の神経細胞はPV陽性であることが確認できた。この結果から、移植実験の手法は確立出来たと考えBAC-PV-Cre transgenicマウスとリポーターマウスであるCAG-lox-LacZ-lox-GFPマウスと掛けあわせ、胎生15.5日目のvMGEより調整した細胞をを生後0-2日目の野生型マウスの大脳皮質に移植した(1個体あたり1-4x107個の細胞を移植した)。移植後、生後30日目のマウスを固定し、免疫組織化学染色により、GFP、PVを染色し移植された細胞がPV陽性であるか?またシャンデリア細胞に分化しているかを検討した。その結果、シャンデリア細胞様の形態を持った細胞や、PV陽性細胞はほとんど観察することができなかった。これは移植した細胞懸濁液中に含まれる将来PV-cre:GFP細胞となる集団が予想以上に少なかったことや、大脳皮質への移植細胞の生着率が低かったためであると考察できる。この問題点を解決するために、移植実験の手法的な検討や、移植細胞数の検討などを行ったが、PV陽性細胞やシャンデリア細胞数を増加させることはできなかった。そこで、このままPV-Cre;GFPマウスを用いた実験系では、課題を達成することは難しいと考え、現在Nkx2-1-CreERノックインマウス(Taniguchi et al., Science, 2013)を購入して実験を行うため、輸入手続きを進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
PV-cre:GFPを用いて胎生15.5日目のvMGEより調整した細胞をを生後0-2日目の野生型マウスの大脳皮質に移植したが、想像以上にGFP陽性細胞が少なかったことや、生着していた細胞が少なかったことが原因である。そのため、マイクロアレイ解析を行うために必要な細胞数を確保することができず、解析を進めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
最近、Nkx2-1-CreERノックインマウス(Taniguchi et al., Science, 2013)を用いて胎生17.5日目にタモキシフェンを投与すれば、多数の大脳皮質のシャンデリア細胞を標識することができるという研究が報告された。このマウスはPV-creマウスを用いるよりも効率的にシャンデリア細胞をラベルすることができる点や、シャンデリア細胞を生み出している前駆細胞をラベルすることができる点で非常に優れている。申請者は現在このマウスをジャクソン研究所(米国)から輸入中であり、マウス導入後は速やかに実験を遂行する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記のNkx2-1-CreERノックインマウスの購入、飼育費用、またマイクロアレイ解析を行うためにのChipに本年度から繰り越した研究費を充てる予定である。また、マイクロアレイ解析で、大脳皮質においてシャンデリア細胞特異的な遺伝子が明らかになった後は、その遺伝子の発現動態を免疫組織化学染色やIn situ Hybridization法によって解析する。さらに胎仔大脳皮質内に電気穿孔法やアデノウィルスやレトロウィルスを介して、マーカーとなる遺伝子が発現すると蛍光を発するプラスミドを導入し、プラスミドが導入された細胞がシャンデリア細胞に分化しているかどうかを解析する。また、同時に特異的マーカーの抗体を作製し、成体のマウス大脳皮質において実際にシャンデリア細胞のみを認識するかどうかを解析する。シャンデリア細胞特異的発現遺伝子が明らかになれば、その遺伝子座にCreまたはGFPを挿入したノックインマウスまたはトランスジェニックマウスの作製を行う予定である。
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