2013 Fiscal Year Annual Research Report
界面特性の異なる高密度DNAブラシを担持したナノ粒子の創製と細胞との相互作用評価
Project/Area Number |
24700488
|
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
金山 直樹 独立行政法人理化学研究所, 前田バイオ工学研究室, 研究員 (80377811)
|
Keywords | DNA / ブラシ / 界面 / ナノ粒子 |
Research Abstract |
申請者は,これまでの研究において,ナノ粒子表面にDNA二重鎖がブラシ状に集積して形成されるDNAブラシの界面特性が,最表層から約1ナノメートルの厚さの空間内における塩基対構造を反映して変化することを報告してきた.本年度の検討においては、末端近傍に導入されたACミスマッチが,pH 5-6 程度の弱酸性条件においてプロトン介在型の非天然塩基対(A+-Cペア)を形成することがトリガーとなり,DNAブラシの界面特性が変化する現象を当該ナノ粒子の分散安定性の変化から新たに見出した.一方で,DNAブラシの界面特性を議論するにあたり,DNAブラシの「どのような」特性値が,末端近傍の塩基対構造に依存して「どれだけ」変化したかのを定量的に表すパラメータが,これまでの検討において欠如していた.この点に鑑み,表層構造の異なる数種類のDNAナノ粒子に対し,電気泳動移動度を測定し,Oshima-Healy-Whiteの近似式へフィッティング解析することで,DNAブラシ界面の柔らかさのパラメータを得ることを前年度より継続して検討した.しかしながら,本研究で対象とするDNAナノ粒子分散液のイオン強度が比較的高く,電気泳動中に発生するジュール熱や水の電気分解に起因するノイズ成分の影響を排除することが極めて困難であったため,このアプローチによるパラメータの獲得は断念した.そこで電気泳動法に依存しないDNAブラシの界面特性を評価する手法として,微小プローブによってDNAブラシ界面を走査し,力学的特性に関する情報を収集するナノ力学計測の適用を新たに検討した.その結果,DNAブラシ表層の僅か一組の塩基対の構造の差(マッチorミスマッチ)を界面構造の柔軟性(剛直性)の差として検知可能であることが示され,ナノ力学計測によるパラメータの取得が今後,DNAブラシの界面特性の定量的評価において有望であることがわかった.
|