2013 Fiscal Year Research-status Report
視線と瞬目によるコミュニケーション支援システムの開発
Project/Area Number |
24700598
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Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
阿部 清彦 関東学院大学, 理工学部, 講師 (40408646)
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Keywords | 瞬目計測 / 随意性瞬目 / コミュニケーション支援 / 視線入力 |
Research Abstract |
本研究では福祉分野での応用を目指し、家庭用ビデオカメラと一般的なパソコンのみで視線と瞬目を利用したコミュニケーション支援システムを開発することを目的としている。具体的には、ユーザの視線と意識的な瞬目の情報を捉え、パソコンのディスプレイ上に表示されているアイコンを注視し意識的に瞬目を行なうことにより、そのアイコンの選択と決定を行なうシステムの開発を目指す。このようなシステムの要素技術として、視線計測と瞬目種類の識別手法が必要となるが、これらのうち視線計測について、研究代表者は実用的な方法を既に開発しており、本研究では瞬目種類の識別について研究を進めている。 意識的に生じさせる随意性瞬目と、無意識に生じる自発性瞬目を識別するには、その特徴パラメータを利用する。実験の結果、瞬目の持続時間、最大振幅値、閉眼および開眼時の速さを計測することができ、いずれのパラメータにおいても随意性瞬目および自発性瞬目での有意差を確認できた。これらのうち、瞬目の持続時間は瞬目の種類によって差が大きく、随意性瞬目および自発性瞬目の識別に適していることを確認した。また本研究では、実際にリアルタイムで瞬目種類を識別する手法を確立するため、個人ごとの瞬目の持続時間を得ることによってキャリブレーションを行なう手法を確立した。 本研究の目標である、視線と瞬目を用いたコミュニケーション視線システムを開発するには、この随意性瞬目の識別法を研究代表者らが開発してきた視線計測システムに組み込む必要がある。いままでに開発してきた視線計測システムは、処理のサンプリング間隔が100ミリ秒程度(10フレーム/秒)であり、本年度開発をした瞬目識別法のサンプリング間隔に比べ大きい。このような低いサンプリングレートによる実験で計測される瞬目の特徴パラメータについて検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究で得られた知見をもとに、高速度ビデオカメラを用いて複数の被験者による瞬目の特徴パラメータの計測実験を行なった。これにより、瞬目の持続時間を用いた、瞬目種類の識別法の確実性を検証することができた。これは、計測システムのうちソフトウェアの部分を研究代表者が開発および改良をしているため、短期間のうちに多くのデータを処理するシステムを構築できたためである。 高速度ビデオカメラでの実験結果をもとに、一般的な家庭用ビデオカメラ(1080iハイビジョン規格)を用いた瞬目種類の識別におけるキャリブレーション法を開発した。これにより、リアルタイムで随意性瞬目の識別を行なう手法を確立することができた。 また、視線と瞬目を用いたコミュニケーション視線システムの実現に向けて、低サンプリングレートにおける計測実験を開始し、その際に瞬目の特徴パラメータがどのように計測されるか検討を開始した。 研究課題で計測をした瞬目についての実験データはすべて電子的にライブラリ化し、今後の研究での基礎資料として再利用できるように環境を整えた。来年度以降の研究においても、本年度に計測した実験データを活用する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究成果として、一般的な家庭用ビデオカメラ(1080iハイビジョン規格)によりリアルタイムに瞬目種類を識別できるようになった。次年度はこの手法をもとに、実際にリアルタイム随意性瞬目の生起を検出するソフトウェアを開発する。また、よりサンプリングレートの低い環境での随意性瞬目の識別について研究を進め評価実験による検証を行ない、研究代表者らが開発している視線入力システムに瞬目による入力選択機能を追加する。 これにより、視線でパソコンのディスプレイに表示されているアイコンを選択し、意識的に瞬目を行なうと、その入力を決定するユーザインタフェースが完成する。完成したインタフェースのソフトウェアは、研究完了後にインターネット上で広く国民に公開をする予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費により実験データ記録用の固定磁気ディスク装置(HDD)を消耗品として購入したが、当初の予定よりも金額が抑えられた。また、国内学会の出張費も当初の予定より金額が抑えられた。これらの理由により、次年度使用金が生じた。 本研究課題で実施される計測実験では、大規模なディジタルデータとして実験結果が得られる。この保存のための固定磁気ディスク装置(HDD)を購入する。
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Research Products
(4 results)