2013 Fiscal Year Research-status Report
「共走」概念を基盤とした義務教育期の長い距離を走る運動のカリキュラム開発
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24700628
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Research Institution | Gifu Shotoku Gakuen University |
Principal Investigator |
佐藤 善人 岐阜聖徳学園大学, 教育学部, 准教授 (20534663)
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Keywords | 共走 / 持久走 / ジョギング / 長距離走 / 態度 / 全身持久力 |
Research Abstract |
24年度は、2つの小学校5,6年生に対して、「共走」をベースとした実践を行った。また中学校1,2年生に対しても25年度の実践を見据えて先行実践を行った。その結果、児童・生徒の「態度」と全身持久力、及び長距離走の記録が向上することが分かった。 この研究成果を踏まえ、25年度は、24年度に調査した小学校5,6年生が進級、進学した1年後の実践と、新たに5年生の実践について質問紙調査と20mシャトルラン、中学1年生に対しては長距離走の結果を事前事後で比較した。その結果、小学生については「態度」が向上することが分かった。特に2年間継続して実践した6年生の「態度」は大きく向上した。先行研究によると、小学校高学年から長い距離を走る運動に対する児童・生徒の「態度」は低下傾向にあるが、「共走」をベースとした実践を継続することで、児童は好意的な「態度」で長い距離を走る運動に取り組み、さらに全身持久力も向上することが分かった。 中学校1年生の実践では、長距離走の記録が大きく向上した。「態度」には有意な変化は見られなかった。しかし、先ほど述べた先行研究との比較から、生徒の「態度」が低下しなかったということは、「共走」をベースとした実践が一定の成果を上げているとも考えられる。この点については、26年度に中学校での実践を通して、詳細に検討したい。なお、新たに1つの中学校で長距離走ではなく、ジョギングの実践を1年生を対象に実施した。その結果、「態度」は向上し、全身持久力の向上も見られた。中学校において陸上競技(長距離走)ではなく、「共走」をベースとしたジョギングを実践することの価値も見えてきたと言える。 これらの研究成果の一端は、雑誌論文や学会誌での報告書、さらに8月の日本体育学会(立命館大学)、3月の日本発育発達学会(大阪成蹊大学)、同じく3月のランニング学会(大阪体育大学)にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、昨年度実施した2つの小学校とそこから進学した1つの中学校において、「共走」をベースとした長い距離を走る運動の実践を実施し、質問紙調査と20mシャトルランの調査、中学生に対して長距離走の記録を測定することができた。また、新たな1つの中学校において、陸上競技としての長距離走ではなく、「ジョギング」の実践を行いデータを取ることができた。 2年目ということもあり、また昨年度の調査結果を報告していることから、実践される先生方との信頼関係が構築され、大変協力的であった。 こちらが用意した単元指導計画での実施をお願いし、概ね予定通りに実施していただいたが、天候によるグランド状態の悪化やインフルエンザの流行などによって、予定通り実施できないこともややあった。 学会発表や雑誌論文、学会誌への報告書の執筆を行い、研究成果の発表に務めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、実践の最終年となる。小学校での2年間の実践により、5,6年生に対して計画的に「共走」をベースとしたジョギングの実践を行うことで確かな成果があることが分かった。26年度は実践対象を中学校に絞り、小学校高学年から3年間継続することで、生徒にどのような効果があるのかを明らかにしたい。これまでお願いしてきた中学校の担当教員が異動したため、早めに依頼し、さらに単元指導計画の説明を行うことで、研究の継続性を担保したい。 また、25年度にジョギングの実践を行った1つの中学校においても継続的な調査を予定している。 4月現在、学会誌へ投稿する論文を執筆中である。また、8月の日本体育学会(岩手大学)、3月のランニング学会(日本女子体育大学)で25年度の成果を報告する予定である。その他、機会を見つけて研究成果の発表に努めたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年は学会の際に、研究協力者との打ち合わせを行った。そのため、旅費が縮小された。グランド整備やデータ収集に関わるアルバイトを予定していたが、実践校の教員の協力により、大幅に圧縮された。 26年度の実践に関わっては、予定通りの支出を見込んでいる。すでに投稿済みの学会誌の報告書の抜刷に20,000円程度、また現在、学会誌に投稿する論文を執筆中であり、その抜刷の作成に40,000円程度の支出を見込んでいる。 さらに、8月の日本体育学会(岩手大学)、3月のランニング学会(日本女子体育大学)で発表の予定であり、加えて研究のまとめに向けて共同研究者との打ち合わせを数回程度計画している。そのための旅費の支出は150,000円程度になる。これらのことから、26年度の使用額は概ね執行されると考えている。
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